ラグビーワールドカップ2019日本大会・大分大会の最後の試合となる準々決勝のウェールズ対フランスが20日午後4時15分にキックオフした。この日も、最初に台風19号の犠牲者に対して黙とうを捧げた。
開始して約5分後にフランスのセバスティアン・バハマヒナ選手がトライを決めて先制。その後のキックは失敗したものの、3分後にもシャルル・オリボン選手がトライを決めて序盤でフランスが12点を入れて、予選プールを全勝で勝ち抜いたウェールズを突き放した。
ウェールズもアーロン・ウェーンライト選手がトライを決め、ダン・ビガー選手がペナルティキックを確実に決めて2点差まで追いつくと、フランスのゼリミ・バカタワ選手がトライを決め、再び突き放すと、前半19ー10でフランスがリードをして折り返した。
後半に入ると、バハマヒナ選手が相手選手の首をしめたあと顔に肘でエルボーをする危険行為でレッドカードとなり退場すると、流れは一気にウェールズに。
ビガー選手が2回目のペナルティーキックを決めると、13ー19。残り7分となった場面で、この日イエローカードをもらったウェールズのロス・モリアーティ選手がトライ。その後のキックも決めてウェールズが20ー19と大逆転。そのまま、試合終了を迎え、最後まで諦めず戦ったウェールズが準決勝へのキップを手にした。
フランスの選手は応援してくれたファンに感謝の気持ちを込めて客席を回り、ウェールズのファンともタッチをするなど、ノーサイドの精神を見せた。
試合後、ウェールズのウォーレン・ガットランドHC(ヘッドコーチ)は「フランスは、前半はとても良いプレーをしていた。素晴らしいチームだった。ハーフタイムでは、先制すればチャンスは来ると選手に伝えた。ネバーキブアップの精神を貫いたと思う」として、レッドカードについて「数的有利になったのは大きかった。どのチームと試合をすることになるか分からないが、若い選手に特別な瞬間を感じてもらえるような準備をしたい。これ以上ワクワクすることはない。やるべきことは沢山ある」と試合を振り返り、準決勝への決意を語った。
ウェールズの準決勝の相手は、南アフリカと決まった。
一方で、負けたフランスのジャック・ブルネルHCは、来年に代表HCを退くことが決まっており「後半14人で戦わなければならなかったのは、厳しい状況。チームの質は良かったが、得意な分野で試合展開できず、結果を受け入れるのは苦しい。5回目のW杯で、苦戦することは分かっていたが、良い戦いが出来た。4年後は、フランス開催なので、結果を出せる、自信が持てるチームづくりが大切。今回の経験で成熟できると思う」と話した。