国の文化審議会文化財分科会(佐藤信会長)は、杵築城跡を国の史跡指定とする答申を15日、行った。
市立杵築中学校建て替えに伴い、平成21年の藩主御殿跡発掘調査を行ったところ、江戸時代を通じて杵築藩の中心として機能した藩主御殿の遺構や江戸時代以前の可能性のある石垣、舟入が良好な状態で残っていることが分かり、遺構を保存することになった。その後、平成29年度から模擬天守閣周辺地区の台山の調査を行い、戦国末に構築が開始され江戸初期の1615年に一国一城令によって破却されたと考えられる城郭を構成する石垣の一部が確認されており、当時の城郭の建物構造が分かる資料として貴重なものとなった。
杵築市は、藩主御殿跡と現在、模擬天守がある台山部分を含めて「杵築城跡」として、平成24年度から指定に向けて取り組んできた。大分県内の城の国の史跡指定は、玖珠町の角牟礼城以来、約15年ぶりとなり、3例目。
永松悟・杵築市長は「杵築城が国指定の史跡に答申された第一報を受けて、杵築市民として大変喜ばしく思うとともに、先人たちが築きあげた我がまちを誇りに思います。今年、新たに杵築城の北城外に杵築中学校の校舎を竣工し、生きた教材として国指定史跡の杵築城を身近に感じることができる環境で勉学に励んでいます。生徒たちが郷土を誇りに思い、郷土愛を育み、市外に出ても杵築を自慢できるように、江戸の風情を残す武家屋敷群を大切に保存、継承していきたい。江戸時代まで存続した城跡が国史跡に、隣接する近世城下町の一部が国の重要伝統的建造物群保存地区に選定を受けている例は全国では数例で、九州では初めて。保護し、守り伝えていくために皆様のご理解とご協力をいただき、是非、一度訪れてもらいたい」とコメントした。