別府市は、東山地区にある猪の瀬戸湿原の約20㌶を、貴重な生物などの生息地になっているとして、「生物環境保護地区」に指定した。
猪の瀬戸湿原は、1587年に豊臣秀吉の弟・羽柴秀長が島津軍追撃の際に約9万の大軍を率いて宿営したと言われている場所。1953年に由布岳・鶴見岳一帯が阿蘇くじゅう国立公園に編入された。しかし、地域畜産業の衰退により、1972年には野焼きが行われなくなり、徐々に湿原の森林化が進んでいた。2007年にボランティア団体「猪の瀬戸湿原保全の会」が発足して、2012年には40年ぶりに野焼きが再開され、現在も継続している。2014年からは自然観察会を行ったり、外来種の抜き取り活動などをしている。土地の所有者は、城島高原オペレーションズ。
猪の瀬戸湿原には、大分県における絶滅のおそれがある野生生物のサクラソウなどが自生している。保護地区に指定することで、環境を維持するための適切な管理が行うことが出来るようになり、希少植物の保護に取り組むことが出来る他、湿地の重要性や絶滅危惧種の保護などを広く伝える活動を支援することが出来る。
希少種を保護することにより、新たな観光資源としての展開も期待されている。