別府市議会が臨時議会を開会

執行部が提案した新型コロナウイルス感染症の
緊急対策の補正予算案について質疑が行われた

 別府市議会は15日午前10時、令和2年第1回臨時議会を開き、別府市が提案した新型コロナウイルス感染症への緊急対策における、一般会計補正予算案10億2850万円について、議案質疑を行った。
 日名子敦子氏(自民党議員団)、市原隆生氏(公明党)、森大輔氏(自民新政会)、加藤信康氏(市民クラブ)、平野文活氏(日本共産党議員団)、泉武弘氏(行財政改革クラブ)、美馬恭子氏(日本共産党議員団)が質問に立った。
 はじめに、長野恭紘別府市長が「収束の兆しが見えない中、本市においても市民生活や経済活動に及ぼす影響を最小限に抑えるため、対策本部を設置し、相談窓口の開設、予防対策、経済対策などに取り組んできた。自粛要請に伴い、売上の減少や資金繰りの厳しい状況にある事業所等における解雇、雇い止め、休業などにより、収入が断たれるもしくは、減少し日々の生活に不安を抱える市民や事業者からの切迫した様々な相談、問い合わせが数多く来ている。基幹産業である観光業を中心に、医療、福祉などの幅広い業種に対して、更なる対策の強化が急務となっている」と現状を説明。
 その上で「国において、緊急経済対策が閣議決定されたところだが、自分のまちのことは自分達で守るという強い信念の下、本市独自の対策を実施することにした」と上程理由を説明。雇用を守る、事業を守る、市民の健康・生活を守るーの3つの柱で、各種政策に取り組むとし、それぞれの事業内容について説明をした。
 日名子氏は、「市の素早い対策は心強い」と評価した上で、臨時雇用について「最大500人規模とあるが、他の大きな自治体でも100人。500人の根拠は何か。選考はどうするのか」と質問。
 長野市長は「別府は8~9割が観光業、サービス業で仕事をしているという特徴がある。混乱なく、慌てず申請してもらえる最大の値だと私が判断した」。
 花田伸一職員課長が「面接で聞き取りをして、適切な任用をしたい。議決をいただければ、今週中にホームページ等で要綱等を周知し、電話予約をしてもらい面接をしたい。雇用は令和3年3月末までを予定しており、事務補助や軽微な作業、衛生管理などを考えている」と答えた。
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 市原氏は、次亜塩素酸ナトリウムの配布について質問。
 環境課が日名子氏の質問の中で、配布は事業所には2㍑、個人は1㍑を上下水道局の敷地内で行うことや次亜塩素酸ナトリウムは時間が経つと効果が薄くなるため、毎朝作って配布することを説明したことを踏まえ、「家庭で使うキッチン用の漂白剤で作れるということなので、家庭にあるもので活用する方法をホームページ等でお知らせすることも大切では」と指摘。
 堀英樹環境課長は「手や指の消毒の使用は遠慮してもらい、仕様する際は十分換気し手袋が必要。啓発していきたい。次亜塩素酸ナトリウムは安価で簡単に生成できるため、配布を決めた」等と答えた。
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 森氏は、マスクと非接触型体温計の配布について質問。
 「50万枚を確保して、学校や放課後児童クラブ、保育所、医療機関などに配布するとしているが、どのようなマスクをいつから配布するのか」と質問。
 猪股正彦いきいき健幸部長が「4月末から5月のゴールデンウイーク明けぐらいに納品を予定している。必要枚数などについても情報収集をしており、把握し次第、各部に協力をしてもらって配布予定。配布するのは、サージカルマスク」と答えた。
 森氏は市税等の減免等についても質問。樫山隆士総務部長が「既存の減免などを知らない市民もいるので、周知したい。少しでも安心できるように取り組みたい」と答えた。
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 加藤氏は、「緊急事態なので、同時進行もあり得ると思う。臨時雇用をすると言うが、業務をお願いする担当課では管理監督が必要だと思う」と指摘した上で「事業継続計画(BCP)」についての考えについて質問。
 内田剛・共創戦略室長が「政府の緊急経済対策や本市の支援対策を行うために、一定の人員が必要。優先すべき業務を選別し市民活動に影響が出ないようにやりたいが、非常時の対策と理解してもらいたい。発動する際には、停止業務については提示する」とした。
 加藤氏は「役所は中心。職員が疲弊してストップすると、すべてが止まる。職員がしっかり体力をつけられる体制を作ってほしい」と要望した。
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 平野氏は、補正予算案の財源について「まずは財政調整基金からの繰り入れとの提案。対策に見合った予算を既決予算の見直しで確保するということで良いのか」と質問。
 長野市長は「今の段階において、1週間先も見通せない。一旦、執行停止をすることは、内部的には協議を続けている。反転攻勢に出る時期が早くなるかもしれないし、総合的に判断したい」と答えた。
 平野氏は「財政規模がそう大きくない中で、別府市が10億円の単費を使って措置に踏み切ったということは、全国に与える影響は非常に大きいと感銘を受けている。政府への姿勢を正す役割もあると思う。今回の英断は、高く評価する」とした。
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 泉氏は、予算を財政調整基金から繰り入れることについて「中期財政見通しでいくと、令和5年の残高に大きく影響すると考えている。50億円をわりこむことが起こらないのか」と質問。
 長野市長は「災害や予期せぬ事態に使うための基金。一時的には50億円を切ることはあるかもしれないが、見通しを立て直していきたい」と答えた。
 泉氏は「思い切った財源措置をすることには反対するものではない」としながらも「この緊急下において、事業を見直しをすべきだと言ってきた」として、見直しが出来る事業を列挙。「コロナだけではなく、将来的に大きな有事に対応できるのか危惧している」と指摘し、団体運営費補助金の見直しも提案した。
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 美馬氏は、「6月に給料が出るのでは遅いのでは。早急に現金がいくようにしてほしい。1つの家庭で2人が手を上げることが出来るのか」と質問。
 花田職員課長は「条件に当てはまればそういうこともあるかもしれない」と答えた。
 次亜塩素酸ナトリウムについて「机や扉などの消毒ということだが、とても使いやすくて良いと思うが、上下水道局の敷地で配布するいうが、取りに来にくい人についてはどうするのか」と質問。
 長野市長は「当面は生成に限界があるので、1カ所だが、今後はできるだけ近くで取りにきてもらえるようなことに柔軟な対応を市民に寄り添って考えていきたい」と答えた。
 議案質疑終了後、表決で起立採決を行い原案通り可決された。

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