別府市は令和元年度から職員が行う定例的な作業手順をあらかじめ登録することで業務作業量を減らすことが出来るRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を本格導入し、RPA活用による職員の作業時間を80・6%も縮減するなど成果を上げている。今年度からは、AI機能を備えた文字認識システム「AIーOCR」を導入し、さらに業務の効率化を図る。
別府市は昨年6月に「BEPPU×デジタルファースト宣言」をしており、行政運営のデジタルファーストとしてRPA活用に取り組んできた。RPAは定例的で反復性の高い業務を行うことを得意としている。平成30年度に保険年金課の業務を中心に試験的に導入をし、実用性が確認できたことから本格導入となった。
令和元年度は保険年金課、市民税課、職員課、情報推進課の4課の34業務について実施。これまでは、職員が1人ひとりのデータを打ち込み、登録、確認といった作業があったが、RPAを活用することで8割の作業をRPAがしてくれるため、その時間を資料づくりや他の対応などに使えるうえ、データ入力は1つ間違えれば大きなミスにつながる恐れもあるため、慎重な上にも慎重な作業が要求されることから、ストレスも大きかった。そのストレスがなくなるなど、負担軽減にもつながっている。また、確認作業も簡単に出来るようになった。
福祉部門でも導入が進んでおり、新型コロナウイルス感染症の影響で生じた、保育料の日割り計算の作業等にも活用された。今年度は9課で13業務に取り組む。
これにAIーOCRを加えて活用できると、業務は各段に効率化が図れることになる。AIーOCRは、手書き文字をスキャナで読み取り、データ化して文字変換するシステム。別府市の実証では、読み取り精度は90~95%。精度が99%まで上がれば、手書きの申請用紙などを読み取り、RPAで処理をすることも可能になる。しかし、そのためには、様式の変更などが必要になる等の課題もある。
RPAを活用している職員からは「保険税の試算表などの新たな説明資料を作成し、窓口で丁寧な説明が出来るようになった」「定例的な入力作業から解放され、窓口業務に専念できるようになった」などの声がある。これらの導入を進めて、行政運営の負担軽減だけでなく、それによって生まれる時間と心の余裕で市民サービスの向上を図りたい考え。