別府商工会議所は20日、2020年3月から6月の景況調査を発表した。今回で27回目の調査。
今回は、新型コロナ感染症の影響は全体の82%の会員が影響を受けたと回答した。最高は「宿泊」が90%、最低は「建設業」「小売業」の70%となっている。別府商工会議所は「別府市経済は、韓国との政治摩擦によるインバウンド客減少が昨年夏季より発生。今春より新型コロナ感染症で外国人観光客が皆無となり、甚大な影響を被っている。国外客と国内客双方の観光客の市域への流入がほぼストップした。別府市にとって、コロナ感染症は軽症であった別府市経済を重症化させた。行政や支援機関は前例を無視するような支援施策を次々と打ち出し、沈痛な思いでいる経営者を鼓舞激励する必要がある」と分析している。
市内の会議所会員100社に、調査票を発送し回答を得た。調査項目は売上高、売上単価、資金繰り、借入難度、収益状況、雇用人員、自社の業況判断。
▽売上高=過去の調査では見られなかったほどの悪さ。「総合」のDI値(増加・好転などの回答割合から減少・悪化などの回答割合を引いた値)はマイナス83・0で、前期のマイナス7・0よりも76ポイント悪化した。前期に5・0とプラスだった「もの造り関連」も75減少と大きなマイナスを記録した。来期見通しも「総合」でマイナス39と多少の回復を予想するが、大きな期待値を経営者は持っていない。業種別では「宿泊業」が100減少とマイナス値の下限を記録。「建設業」のマイナス60・0が最も良いという結果。
▽売上単価=前期のDI値は「総合」6・0、「もの造り関連」ゼロ、「商業・サービス関連」7・5と傾向としては悪くなかった。しかし、今期はマイナス50・0、マイナス45・0、マイナス51・3と大きな減少を記録。来期見通しでは、「医療・福祉」のみプラスを予想している。
▽資金繰り=前期比で大きく悪化。来期見通しでは、売上高と売上単価でプラスを予想している「医療・福祉」もマイナス20・0と減少を見込んでいる。なお、前期20・0、今期マイナス50・0を記録した「製造業」が来期ゼロを予想している。
▽借入難度=資金繰りは苦しいものの、金融機関の融資姿勢が軟化していることもあり、借入難度は総じて前期より改善された傾向を示した。宿泊業の前期はマイナス20・0であり、今期のDI値を分析すると、別府の基幹産業であり、かつ新型コロナウイルス感染症で疲弊する宿泊業を支援するという金融機関の姿勢を汲み取ることができる。
▽収益状況(経常利益)=収益状況は極めて厳しい。前期は「もの造り関連」が健闘したものの、今期は全業種で大きなマイナスを記録した。来期は「医療・福祉」がゼロと予想するほか、「卸売業」がマイナス55・0を見込むなど7業種でマイナスになると予想。
▽雇用人員=新型コロナ関連で休業を実施した企業がある。また、売上が極めて厳しい状況に陥ったことから、現有人員でも現行ビジネスモデルを効率的に運用できる余裕がコロナ感染症副作用で発生したためか、「総合」はマイナス4・0と前期のマイナス35・0よりも大幅に改善されている。今期プラスだったのは、「卸売業」35・0、「宿泊業」20・0の2業種だった。
▽自社の業況判断=売上高や収益状況(経常利益)と同様に厳しい状況に陥っている。来期見通しも「医療・福祉」を除く6業種でマイナス。この3つのDI指標は相互に関連しているが、元となる売上高の改善が達成できなければ、ほかの2つのDI指標も改善することは困難。