別府市、市教育委員会、市人権問題啓発推進協議会は「差別をなくす市民の集い」を25日午後1時30分から、市公会堂2階大ホールで開催した。今回は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、検温、手指消毒などを行い、参加者も100人に限定した。
別府市出身でこれまでハンセン病国賠訴訟西日本弁護団代表、ハンセン病市民学会共同代表、ハンセン病家族訴訟弁護団共同代表を務めた德田靖之弁護士が「ハンセン病差別と市民社会」をテーマに講演した。
市人権問題啓発推進協議会会長(長野恭紘別府市長)の代理として阿南寿和副市長が「毎年、8月は差別をなくす運動月間として県内各地で行事を行っていますが、新型コロナウイルスの影響で、この講演会も制限して行っています。新型コロナウイルスに感染した方々、医療関係者にいろんな形で誹謗中傷や差別が発生しています。コロナによる差別のストップとして、ポスターなどを作製して啓発しています」とあいさつした。
宮森久住・市人権同和啓発課長兼人権啓発センター所長事務取扱が、部落差別解消推進法と登録型本人通知制度などを説明した。
ハンセン病とは、「らい菌」が皮膚と神経を侵す慢性の感染症だが、現在は治療法が確立し感知する病気となっている。
德田弁護士は「貴重な教訓を私たちに与えてくれると思います。国が大きな過ちを犯しただけでなく、私たち市民社会がハンセン病の患者や家族を地域から、学校から追い出していく。あるいは結婚や就職など人生に大切な場面で、患者や家族を非常に苦しい目に合わせた苦い歴史がある。ハンセン病問題で学ぶことが、私たちがコロナ社会を乗り越える上で大切なことを教えてくれるはずです」と話した。
新型コロナウイルス感染症のこの時代について「一番辛い思いをしているのは、感染した人やその家族。そして、それを支える医療従事者。その人を排除する社会は、社会に値するのか。このコロナの時代が、ハンセン病の差別の歴史から一番学ぶべきは、一番辛い思いをしている人たちに支え合うとする市民がどれだけいるのかだと思う。このコロナ禍をどう生き抜いていくかが大切と思う」と話した。
講演終了後、安藤紀文市生活環境部長が謝辞を述べた。