別府市上下水道局の元職員の逮捕を受けて16日午後8時、上下水道局で記者に対して説明を行った。午後5時半頃には、捜査員約20人が次々と上下水道局の中に入っていった。上下水道局の家宅捜索は約3時間かけて行われ、書類などが入った段ボール箱が運び出された。
捜索終了後行われた記者説明会には、岩田弘企業管理者、藤吉賢次次長兼総務課長、山内佳久次長、田原貴久男工務課長が出席した。説明によると、今回疑惑が持たれてるのは、朝見浄水場次亜注入設備更新工事の内の機械設備工事。原水に次亜鉛酸ナトリウムを注入して浄水とするための設備の更新。更新事業は不定期で、前回は20年ほど前だったという。特定建設業の許可や主たる事業所が市内にあるなど5つの条件をつけた要件設定型一般競争入札で行われ、条件を満たす事業所は170社ほどあったが、入札に参加したのは、2社のみ。東伸エンジニアリング㈱別府支店が落札。昨年2月に契約を結んでいる。東伸とは過去も2回ほど取り引きがあり、朝見浄水場の管理運営の委託も請け負っている。
藤内容疑者は昭和55年に当時の水道局に採用され、平成28年に工務課参事(課長級)、同30年に工務課長を経て令和2年に退職後、再任用として水道局で働いていたが、同年6月に離職して東伸に再就職をしていた。
上下水道局では、倫理規定で利害関係のある業者との食事などは禁止されており「どこでどう知り合い、親しくなったのかはよく分からない」とした。さらに、条件は一般的なもので特別、「東伸」に有利になるものではないとして「不正をはたらく余地がない」との認識を示した。
しかし、逮捕された2人は大筋で容疑を認めているとされており、何らかの便宜を図った疑いが強い。藤吉次長は「私たちも夕方聞いたばかりで、よく分からないことが多い。今後の捜査を待ちたい」とした。
岩田管理者は文書で「逮捕の知らせを受けて大変驚いており、報道のとおりの事実であれば大変遺憾。現在、捜査中のため、警察から詳しい情報の提供はありませんが、警察の捜査には誠実に協力していきたいと考えております。今後につきましては、事実関係が確認でき次第、早急に必要な対応をしてまいります」とコメントを発表した。