猪の瀬戸湿原観察会始まる

ガイドをしてもらいながら、湿原の大自然を楽しんだ
大分県における絶滅のおそれがある野生のサクラソウが見頃

 NPO法人猪の瀬戸湿原保全の会(渡辺新十郎会長)は、25日午前9時半、猪の瀬戸湿原自然観察会を開催した。11月まで月1回ペースで行われる。
 猪の瀬戸湿原は、1587年に豊臣秀吉の弟・羽柴秀長が島津軍追撃の際に約9万の大軍を率いて宿営したと言われている場所。1953年に由布岳・鶴見岳一帯が阿蘇くじゅう国立公園に編入された。しかし、地域畜産業の衰退により、1972年には野焼きが行われなくなり、徐々に湿原の森林化が進んでいた。2007年にボランティア団体「猪の瀬戸湿原保全の会」が発足して、2012年には40年ぶりに野焼きが再開され、現在も継続している。自然観察会は、2014年から実施している。
 そんな中で、別府市は、猪の瀬戸湿原の約20㌶を、貴重な生物などの生息地になっているとして、「生物環境保護地区」に一昨年指定している。大分県における絶滅のおそれがある野生生物のサクラソウなどが自生しており、この時期、見頃を迎えている。季節によって見られる草花は変わり、奥別府の自然を感じることが出来ると毎年人気。
 初回は約50人が参加。10人ずつ5班に分かれてそれぞれNPOメンバーがガイドとして案内した。湿原内には立ち入ることは出来ないが、決められたルートでガイドと一緒に珍しい草花を見て回った。各所にサクラソウが群生しているが、よく見ると、少し形や色が違うものも。「野生種は、子孫を残すために少しずつ変異してより強いものになっていく」と説明があった。一方で、シカによる被害もあり、軟らかいサクラソウの芽が食べられた跡がいくつも見られた。
 参加者は心地よい湿原の風を受けながら、熱心にガイドに質問をするなどをして、自然を満喫していた。
 次回は5月23日で、集合場所は、猪の瀬戸バス停で、当日のみ、駐車場に目印を設置する。参加費は200円(保険料)で、未就学児は無料。個人の場合は当日参加可だが、10人以上の団体で参加する人は予約が必要。
 また、当日はマスクの着用が必須で、マスクをしていない場合は、参加できないので注意を。タオルや飲み物、筆記用具は各自で準備を。現地にトイレはない。団体予約は、保全の会(電話090・2851・7911)か別府市生活環境課(電話21・1134)へ。