別府市は、令和2年度の地方創生交付金関連事業の検証・評価を行う別府市総合戦略推進委員会の1回目を20日午後2時半、市役所で開いた。委員11人が出席した。
安部政信企画戦略部長が「新型コロナで市民生活や経済に大きな影響があり、依然として先行きが不透明な状況が続いています。その中でも人口減少は続いており、喫緊の課題。人口減少を克服し、将来にわたり活力ある別府のため、7事業に取り組み、効果を検証するものです。皆さの知見やキタンのない意見と今後の取り組みに反映させていきたい」とあいさつ。
委員長に鶴田浩一郎NPO法人ハットウ・オンパク理事、副委員長に中山昭則別府大学教授を選任した。鶴田委員長が「KPI(目標値)とPDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを回すことが極めて大切な政策の内容になっている。コロナ禍なので、全国的に事業の進捗が遅れている。皆さんの知見でいろんな意見を言っていただき、次の事業に展開できればと思います」とあいさつをした。
評価を受けた事業は▽アセアン人材育成拠点構築事業=留学生の県内就職者の増加、外国人労働者の単年度増加、留学生の県内起業者の増加等▽大分県版第4次産業革命「OITA4・0」関連事業=別府市で開催される「第33回宇宙技術及び科学の国際シンポジウム」に関連したイベントなどの実施▽ICTを活用した外国人観光客及び国内客誘客受入事業=アジア中心の外国人観光客から、ラグビーW杯を契機として構造転換をし、持続可能な観光地としての取り組み
▽官民連携プラットフォーム組成による地域づくり人材・サービス・雇用の集積拠点形成事業=新図書館等整備事業に伴い、オープンプラットフォーム会議や地域づくり人材の育成など▽別府ツーリズムバレー創造プロジェクト=起業・創業の推進、観光産業を担う人材育成、応援してくれるヒト・企業のつながり強化▽伝統的工芸品別府竹細工イノベーション推進事業=竹細工製作者の確保、継続した新製品の開発支援、担い手不足などの課題への取り組み▽すべての世代が活躍できる健康寿命延伸プログラム=タニタヘルスリンクと連携して、身体の「見える化」を図り、生涯いきいきと活躍できるまちづくりを目指す。
いずれの事業も、新型コロナウイルスの影響を受けて、事業を行えなかったり、縮小しており全体的に評価は低めだった。評価はKPIに対しての達成度などを勘案して、A~Eの5段階で示した。各事業実施の担当課が説明を同じ、内部評価を示し、それに対する評価を行った。宇宙技術関連の事業は、内部評価「C」だったが「将来性がある」として「B」に。ツーリズムバレー構想については「アフターフォローが重要」と厳しい意見もあったが「一定の成果はある」として、内部評価「C」から「B」へとそれぞれ評価を上げた。
一方で、竹細工については「コロナ禍においても、工芸というものが注目されているのは確か。ただ、事業のコンセプトをどう考えるか重要。注文を沢山受けても、生産が追いつかない。構造的な問題があると感じている。今は、個人の頑張りに頼っている。産業として厚みを持たせるためには、考えないといけない」。
ツーリズムバレー構想の大学等の連携講座が実施されなかったことについて「ほとんどの大学がオンラインにしている中で、オンラインは当たり前の技術になっている。ワーケーションのことを考えるとオンライン抜きでは考えられない。より力を入れて進めるべき。コロナを理由にするのはマイナス」などと厳しい意見も出た。