別府市は、第4回別府観光あり方検討会議を20日午後2時から開き、政策提案を行った。
旅行に対する価値観や観光需要の変化に対応した、持続可能な観光地としての体制構築を目指し、9月から26人が参加し、ユニバーサルツーリズム、観光DX、免疫力日本一宣言の実現、食×観光の4つの班に分かれて、意見交換を続け、今回、各班から別府市への提案を行った。
別府観光における解決すべき課題として▽1人当たりの観光消費額が低く、平均宿泊数が少ない▽全国と比較して、観光業への依存が強い▽観光業の生産性向上と域内経済循環の向上の必要性ーをあげ、各分野において、解決に向けた政策を検討した。
ユニバーサルツーリズム班は、消費額の向上と平均宿泊数の増加を目指すため、高齢者や障がい者の受け入れ環境を整備して、「日本一のユニバーサルツーリズム都市」を目指すことを提案。長期滞在や平日の宿泊の高い傾向にある高齢者や障がい者を増やすことで、効果が見込まれるとしている。
観光DX班は、消費額の向上と観光業の生産性の向上を目指し、コンテンツの整備とデータ利活用によるデジタル観光地経営の強化を掲げた。そのために、官民一体の観光データ利活用に向けた機運の醸成が必要、とし、独自宿泊予約サイト、観光協会公式LINEアカウントなどを軸にした観光データ活用基盤の整備と普及促進、消費単価の上昇やリピーター創出を目的にデータ分析による効果検証、改善の実施といったPDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルの確立を提案。
免疫力日本一宣言の実現班は、消費額の向上と平均宿泊数の解決に向けて、湯治効果のエビデンスと一定期間の滞在を伴う湯治文化を発信することが有効、とした。エビデンスを伴った湯治は、ワーケーションを行う人の誘致を促し、滞在日数が増加すると見込む。それだけではなく、「湯治プラスαの魅力づくりが必要」とし、データ収集を目的としたワーケーション事業の実施や大学生に向けた湯治の普及促進、免疫力を高める旅行商品パッケージの開発促進を訴えた。
食×観光班は、観光業への集中が著しい問題と域内経済循環の向上の必要性に加え、農業の収益向上と担い手育成の必要性の課題を検討した。新規就農の促進と観光客が求める高付加価値品種の栽培による収入増や、宿泊、飲食事業者への直販といった販売ルートの多角化により、観光業と農業の生産性を向上させ、域内経済循環を向上させる案を提案。具体案として「別府発の農家と宿泊・飲食事業者をつなぐプラットフォームの創設」を提案した。
すべての提案を聞いて、長野恭紘別府市長は「ポストコロナを見据え、4つの柱を掲げていますが、行政だけでは実現できません。多くの観光客を迎える時点で、反転攻勢を協力してやっていかなければいけません。世界を見ると、まだまだ感染は落ち着いていませんが、準備をしておくことは大事だと思います。観光に従事している人が一番多く、コロナの影響を受けています。皆さんが踏ん張って頑張ろうという気概で持ちこたえています。観光が復活すれば、また稼げる町になる。観光で稼いで、市民福祉などを向上させる。提案をいただき、ここからがスタートです」などと話した。