デジタル化が進み、マイナンバーカードの普及が進む中で、住民基本台帳に記載されている住所と通称住所の「2つの住所」が混在していることが大きな課題となっている。
別府市にも、多くの「通称住所」と「大字住所」が存在する。住居表示は、町の境界を決めて、町を区切って建物に順序良く番号をつけることで住所を分かりやすくするもの。別府市では、昭和39年から住居表示整備事業を進めていて、昭和39年、40年、41年、57年、平成2年とこれまで5回にわたって住居表示を実施してきた。
大字住所は範囲が広く、番地だけでは分かりにくいことから、通称住所が使われてきた。しかし、マイナンバーカードでは住居表示が行われていない住所は「大字」で記載されるため、デジタル化が進むとマイナンバーカードの住所が市が発行する健康保険証や各種証明書などの公的な書類に記載されることになり、本人確認書類としての住所が不一致になって郵便物が届きにくくなるなど不便が生じることが懸念される。
町名は、これまで慣れ親しんだ通称住所を引き継ぎ、区画整理などは行わずにできるだけ現状を維持したまま必要最小限の調整で行う方針。4月から順次検討を始めることにしている。対象地域では、町内ごとに意見を聞きながら進める。
住居表示が変更になると、住所が分かりやすくなる一方で、マイナンバーカードの住所変更、不動産の所有者の住所変更登記、会社等法人及び役員の住所変更登記、運転免許証の住所・本籍の変更、国民年金や厚生年金受給者の住所変更、銀行、生命保険などの届出先の金融機関での住所変更などが必要となっていくることが想定される。
手続きは煩雑に感じるかもしれないが、2つの住所に悩まされることはなくなるため、市では対象地域の住民への理解を求めている。対象地区やスケジュールなどは決定次第、ホームページなどで知らせることにしている。これまで、便宜上使ってきた通称住所が、正式な住所となることで、よりデジタル化の推進や利便性の向上が図られることが期待されている。