惜しまれながらラスト営業

最終日の夜には多くの人が屋外健康浴場が訪れていた
最後の利用者が変えると閉館の張り紙が張られた

 別府市営北浜温泉(テルマス)は、30日午後10時、最後の営業を終え、静かに閉館した。
 北浜温泉は、平成10年10月にオープンした、大型温泉施設。通称は「テルマス」で、ラテン語で「浴場」という意味。蒸し湯・ミストサウナ・露天風呂・打たせ湯・桶シャワー等いろいろな温泉を楽しめ、一番の特徴は、水着を来て入浴する屋外健康浴。歩行浴を行う人や、健康教室なども開かれていた。
 しかし、長年多額の赤字が続いており、指定管理制度を導入して、指定管理者が様々な工夫をしてきたが、赤字を解消できずにいた。議会からも指摘を受け、外部評価委員会からも運営について検討をするべきとの意見が出され、検討の結果、閉館することになった。
 最終日は午後9時に受け付けを終了。その後「最後だから」と訪れた人もいたが、間に合わず残念がる人も。この日は「最後にもう一度」と訪れる人が多く、230人が利用した。最後に受け付けをした樹下有斗さん(30)は「以前、会社が近くにあって、閉館すると聞いてもう一度入りたいと思ってきました。施設的にはまだ使える感じなので、残念」と話した。
 若い利用者も多く、番台の佐藤勝枝さん(72)と一緒に記念写真を撮ったり、建物を撮ったりしてそれぞれに別れを惜しんだ。オープンしてすぐに番台となり、最後の日も多くの利用者をいつものように迎えた佐藤さんは「ここ数日は利用してくれる人が多く、寂しいと思うヒマがなかったけど、お客さんが涙ながらに『ありがとう』と言ってくれてうれしかった。とにかく、お客さんに支えられてここまで勤めてこられたので、感謝しています。いいお客さんばかりだった。北浜温泉が大好き」と笑顔で話した。
 松川幸路別府市観光・産業部長も訪れ、温泉課の職員も一緒に「ありがとうございました」と利用者を見送った。松川部長は「24年間運営してきて、長い間、ご愛顧いただきありがとうございますという気持ち。赤字ばかりがクローズアップされてきましたが、それなりの効果はあったと思っています。別府温泉の多様性を感じてもらえたと思う」と話した。
 午後10時過ぎに最後の利用者を見送ると、玄関に閉鎖を告げる張り紙を温泉課の職員が貼り、長い歴史に幕を閉じた。今後は、利活用について協議が行われる。