ロシアの侵攻によって国外に避難しているウクライナの避難民を別府市が受け入れることになり、仲介をした長崎県のNPO法人「ビューティフル・ワールド」の小野一馬さん(35)と妻のヤーナさん(39)が8日午後2時、長野恭紘別府市長を訪れた。
小野さん夫妻は、共に立命館アジア太平洋大学(APU)の卒業生。ヤーナさんはウクライナ出身。駐日ウクライナ大使館から要請を受け、九州内で避難民を受け入れる場所を探していた。別府市が受け入れに積極的であることを知り、ともに学生時代を別府市で過ごした経験から、多文化都市である別府ならば、と協力を求めた。
長野市長は「ニュースを見て、心を痛めています。別府は多くの外国籍の人がおり、世界情勢を意識している多文化共生の町です。何とか、苦しんでいるウクライナの人を受け入れたいと思っていました。我々だけでは分からないことも多いので、これからも力添えをいただきたい」と話した。
ヤーナさんは「日本は平和な国なので、安心ですが、一番の不安は言葉。若い人の多くは英語が分かると思います。ハリキウに住む親せきに聞いたところ、外に出るのが怖いと言っていました。戦車が見えるし、爆撃の音が聞こえる。別府はよく知っている町なので、受け入れてくれてちょっと安心しました。(避難民に対して)あいさつをしたりして声をかけてもらえれば」と話した。
小野さんは「国が方針を決めてない中で、受け入れたい気持ちはあっても一歩踏み出せない自治体も多く、別府市が受け入れてくれた。オンライン教室で日本語を教え、就労可能なぐらいの日本語を覚え、自立できるようにしていきたい。想定外のことも起こると思いますが、別府市と協働して柔軟に対応していきたい」とした。
今回別府に来る避難民は3世帯8人で、16日に別府入りする予定。「ビューティフル・ワールド」は、ビザの発行や航空券の手配、日本側の受け入れ先探しなどを担った。