日本人最年少ヨット世界1周に挑戦

世界1周に挑戦する木村啓嗣さんが
本田博文日出町長と固い握手を交わした

 大分県立別府翔青高校からヨットを始め、日本人最年少ヨット世界1周チャレンジ「Go around Re―Earth」をする木村啓嗣さん(23)が28日午後4時、日出町を訪れ、本田博文町長に報告した。木村さんの母の妃佐美さんが同席した。
 木村さんはヨットを始めてから2016年11月に海洋冒険家の白石康次郎さんを知り「自分もいつかは世界1周を」と夢を見た。白石さんは史上最年少単独無寄港世界1周を26歳のときに達成している。木村さんは愛媛国体で少年男子レーザーラジアルで15位となり部活動を引退。その後、海上自衛隊に入隊。現在就職している環境事業を手がける「(株)浜田」の濱田篤介代表取締役と出会いヨット仲間になる。19年11月に海上自衛隊を退官。20年1月に(株)浜田に入社し、世界一周プロジェクトが始動した。今年11月12日に兵庫県新西宮ヨットハーバーから出航し、単独、無寄港、無補給で南半球ルートで航海し189日後の来年ゴールデンウィーク前に帰港する予定。日本人として5人目で、日本セーリング連盟公認は今回が初めて。
 木村さんが「史上最年少で、単独、無補給、無寄港で世界1周の挑戦をします。世界的に問題になっている環境問題や資源循環の啓発活動を兼ねて行っていくので、出発前のごあいさつをと思いまして、来庁しました。応援のほど、よろしくお願いします」と報告すると、本田町長が「単独での世界1周ということで、その勇気に心より敬意を表します。無補給無寄港なので過酷な航海になるのだろうと感じています。日本人最年少ということ、高校時代からの夢だったと聞いておりますので、その夢の実現に向けて頑張ってください。航海が天候に恵まれて無事に帰還されることを心より祈っています」と激励した。
 記念撮影後、歓談した。その中で日出町子ども会育成会連絡協議会のジュニアリーダースクラブに所属していたことが披露され面倒見が良いと紹介された木村さんは「大人にスポーツを教えるのはビジネス。子どもに教えたり大人が導くのは『未来への投資』と思い、惜しみなく時間を使おうと考えています。コロナ禍で皆さんが前向きになりにくい世の中になっているので、自分の挑戦がそれを忘れられるようにしたい」と述べた。
 また決意として「世界1周が終われば、使ったヨットで大分県に帰ってきて、皆さんにあいさつをしたいと考えています。応援していただいている皆さんと約束したのが『失敗しても必ず帰ってくる』です。スタートラインに立てるので、後は生きて必ず帰るミッションをこなしていく」と話した。
 ヨットの醍醐味として、綺麗な景色がある。「自然の中に自分がほつんといる形になる。その風景をインスタグラム・ユーチューブ・フェイスブックのSNSで投稿します」と語った。
 母の木村妃佐美さんは「3年前に啓嗣が世界1周に行きたいと(株)浜田の社長に言った。社長さんらが関西から日出まで来て『命がかかわりますが大丈夫ですか』と聞きに来ました。まさかこんなに早く出発するとは思っていなかったので『応援よろしくお願いします』と頭を下げましたが、今となっては『本当にできるのか?』『生きて帰ってくるのか?』と考えてしまう」と述べた。
 本田町長が「運も味方にして、成功させてください。そのヨットで日出に帰ってきてください」と思いを伝えた。
 食料はアルファ化米やパスタなど。ビタミンなどはサプリを摂るという。