山口聖一別府税務署長は15日、別府大学(別府市)で「これからの社会に向かって」をテーマに講演。同大学の国際経営学部の2年生約100人が聴講した。コロナ禍で実施できなかった年を除き「税に関する講演会」を平成26年から毎年、別府大学で開催している。
山口署長は熊本市出身。自宅は鹿児島市にあり現在、単身赴任。前職は熊本国税局課税部酒税課長だった。
山口署長は「納税の義務は憲法で定められている」と切り出した。
今年度補正後の国の財政をみると、収入の59・1%(65兆2350億円)が租税、35・9%(39兆6269億円)が公債金だったと説明。高齢化による社会保障費の増加を考えると、借金が増大した理由はさまざまな事情があるが先進国の中でも急速に高齢化が進んでおり、年金・医療・介護の給付水準が一貫して増加していることが要因と指摘した。医療・年金・介護などの費用の推移は「昭和40年には65歳以上1人に対し、20~64歳は9・1人いたが、令和元年は1・9人、令和32年には1・3人にまで減少する」と強調した。
今年の一般会計税収は65・2兆円なのに対し一般会計歳出は110・3兆円。「今年度末の普通国債残高は1029兆円と見込まれ、これは税収16年分に相当し、将来世代に大きな負担を残すことになる」と話した。
日本の社会保障を主要先進国(G7)と比較すると、国民の受益(社会保障支出)に比べて国民の負担(税金と社会保険料)の水準は低く「現役世代に対するサービスに必要なコストの負担を将来世代に先送りしている状況が続いている」と語った。
別府税務署には総務課、管理運営部門、徴収部門、個人課税部門、資産課税部門、法人課税部門の6セクションがあると紹介した。