朝見神社で第70回竹の感謝祭

四海波を編む竹細工職人の矢上亜衣さん(左)と松本綾香さん

 別府竹製品協同組合(岩尾一郎理事長)は「第70回竹の感謝祭」を8日午前10時30分、八幡朝見神社で行った。同組合員や関係者らが出席した。
 組合員を代表して、竹細工職人の矢上亜衣さん(40)、松本綾香さん(30)が神前に奉納する竹かご「四海波(しかいなみ)」を制作した。
 女性2人ということで、幅2・5㌢(通常2・7㌢)、長さ2・7㍍(通常3㍍)のマダケのヒゴ16本を用意。力強くかつ手早く編み、幅50㌢、高さ40㌢の「大四海波」を完成させた。それを見ていた出席者から大きな拍手が贈られた。
 続いて、2人が「大四海波」を奉納。岩尾理事長らが玉串を捧げた。主催者の岩尾理事長が「昭和29年から始まり、昭和の終わりで35回、平成以降で35回と今回で70回目の節目を迎えた竹の感謝祭。元々、昭和30年ごろの竹の職人は娯楽が少なく、花見を兼ねて神社で神事などを行っていた。70年を経て、大きく様変わりしました。当時は数千人規模で竹に従事している人がいました」
 「現在は、およそ300人。うち組合関係者が180人。今年3人が加入しました。市や県の助成をいただきながら、なんとか微増を保っています。昨年末に『別府竹細工』として地域団体商標を特許庁から認められました。これをどのように活用していくかが、これからの課題。市や県の知恵や要請をいただきながら、別府竹細工のブランド化や継続の施策などをお願いしたいと思います」、来賓の長野恭紘別府市長、顧問の岩屋毅衆議院議員、嶋真由美氏(嶋幸一大分県議会議員代理)がそれぞれあいさつした。
 献籃製作をした矢上さんは「のんびりマイペースですが、目の前の仕事をコツコツとこなし、一歩一歩着実に前へ進んでいきたいと思います」、松本さんは「竹という素材に寄り添い、活かすための形を考えています。花籠など暮らしを楽しむための竹工芸をめざします」とそれぞれコメントした。
 竹の感謝祭は、昭和29年から続いており、伝統的工芸品産業の成り立ちそのままに、自然の恵みを匠の技で形作るものとして、竹に感謝し、先達をしのび、参加者の懇親を目的としている。
 「四海波」は、おめでたい席で謡われる謡曲にちなんだもの。四つ目編みを底にし、四辺を波の形に組み上げてまとめたかご。