大分県とその周辺地域の“戦史”の研究者でつくる「豊州戦史研究会」(野﨑哲司代表)が「第3回発表会」を17日午後1時15分から同5時、別府市公会堂1階講座室で開催した。
2020年3月に別府で時代にこだわらない戦史研究の情報交換の場を持ちたいという思いから有志が集まり「豊州戦史同好会」として発足。21年9月18日に現在の「豊州戦史研究会」と名称を変更した。昨年の開催では一般公開をし、より多くの人に歴史を知ってもらうようにした。
今回の発表会のはじめに、野﨑代表が「基調講演のほか、各会員による発表を予定しています。運営など慣れない部分もありますが、ご容赦いただけると幸いです。研究会では、会の趣旨に賛同していただける方の会員も募集しています」とあいさつした。
基調講演として野﨑代表が講師を務めて「毒ガス弾引揚による別府湾掃海について」をテーマに講演した。
「連合軍の命令で日本軍が所有していた兵器や弾薬類は廃棄されることとなった。大分県内に備蓄されていた陸海軍部隊の兵器、弾薬類も内務省・大分県に引き渡され、連合国軍指揮官立ち合いの下、焼却や海中投棄が実施された。その海中投棄された海域の1つが別府湾でした」と話した。
その中に「イベリット弾」と呼ばれた海軍所有のマスタードガス弾(毒ガス弾)もあり、数は3800発以上という。
「1945(昭和20)年12月にイベリット弾の処理はほぼ完了したが、54(昭和29)年3月に引揚作業中に事故が発生し、その後の海上自衛隊による別府湾掃海作業につながった」と述べた。
掃海作業の場所、作業状況などを紹介。最終的に信管を外すなど爆発などの危険性が無いように処理したイベリット弾2505発を再投棄したことについても触れた。
講演終了後、質疑応答が行われた。
休憩後、一般演題の講演があり▽「大分海軍航空隊における飛行作業について」(亀田雅弘さん)▽今日はまだ生きております旗生良景少尉(藤原耕さん)▽豊後防備隊による米潜「トリガー」撃沈(織田祐輔さん)▽大分県における米騒動概説(濱田周作さん)▽佐伯防備隊戦時日誌からみる冬の疾患と衛生管理(松島文子さん)―の発表があった。