別府ONSENアカデミア2023(実行委員会主催)が23日午後1時、ビーコンプラザで開催された。
温泉のさまざまな魅力と効果をアカデミックに検証して、大切な資源である温泉を守りながら、新たな可能性を、国内外に発信するシンポジウム。今年で、6回目。
オープニングで、長野恭紘別府市長が「別府市では、新湯治・ウェルネスツーリズムを進めています。ウェルネスは幅広く、広義にとれる言葉で、逆に分かりにくいかもしれません。しかし、人の体に良いものは、すべてウェルネスだと思っていただければと思います。フランスのヴィシーでは、医療として温泉を活用しています。別府でもうまく取り入れられればと思います。これまでの研究成果を広く発信したい」とあいさつ。
「ヴィシー市のウェルネスツーリズム」をテーマに、ジュアンド・ヤスコ一般社団法人日仏温泉・タラソテラピー文化振興会SPALOHAS倶楽部代表が「日仏温泉ウェルネスツーリズム」、イヴ・ジャン・ビニョン仏ヴィシー市副市長が「ヴィシー市の温泉療法とユネスコ世界遺産登録」と題して、それぞれ講演した。
ビニョン副市長は「2021年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。登録には様々な基準があり、特別な普遍的な価値が必要。入浴だけではなく、飲泉、吸引などがあり、人に合わせてプログラムが組まれている。また、治療だけではなく、治療に役立つような運動をしたり、劇場やカジノといった娯楽施設もある。栄養バランスの良い食事、屋外運動、余暇の3つの柱が揃っているのが、西洋の温泉療養」などと話した。日本の温泉との違いについて、日本は短期滞在であることや、裸で入ること、伝統文化に紐づいていること、子どもも入れる(ヴィシーでは6歳以下は入れない)などをあげた。
研究発表では、バスクリンプレゼンツ「学生から見た温泉の現状とこれから」が2部構成で行われた。1部は、大分県立別府翔青高校2年生が探究の授業で温泉について調査した途中結果や、秋田県立角館高校とオンラインでつないで、温泉水を使ったコスメづくりの可能性について発表。2部は、別府翔青高校と別府大学温泉愛好会の重光宏哉さんが共同温泉の存続について話をした。
さらに、プロ車椅子テニスプレーヤーの上地結衣さんを招いて「パラアスリートのコンディショニングからリハビリテーションのヒントを得る」と題してトークセッション。温泉入浴による腸内細菌叢研究の実証実験についての研究発表、パネルディスカッションも行われた。