原田県議、枯葉剤撤去を求める

原田孝司県議
市内に埋められた除草剤保管施設
(大分西部森林管理署提供)

 1960年代の後半、ベトナム戦争当時、米国は北ベトナムからの物資輸送網の「ホーチミンルート」やベトコンがクモの巣のように張りめぐらした地下壕せん滅のため、当初はナーパム弾を利用してジャングルを焼きはらった。ナーパムで対応できない広範囲のジャンルには「オレンジシャワー」と呼ばれる枯葉剤を航空機から散布して索敵活動を強化した。ダイオキシン含有の枯葉剤はその後も人々に極めて悪質な被害をもたらし2~3世代にわたり、その生存を脅かすまでになった。
 大分県議会で原田孝司議員が一般質問に登壇し、別府市の十文字原の国有林の埋設されている枯葉剤原料の撤去について質問した。
 猛毒のダイオキシン類を含んだ枯葉剤の原料で、染色体異常を引き起こす非常に危険なものである。結合双生児はベトナムのベトくんとドクくん、日本で治療を受けたこともあり知られているが、彼らもこの薬剤の被害者と言われている。
 この深刻な被害をもたらすといわれる「2・4・5T系除草剤」が、全国15道県42市町村の国有林に計約26トンが埋められていることが明らかになっている。
 県内でも別府市の十文字原の国有林と玖珠町の民有林にセメントで固められたコンクリート塊として埋められたが、別府市では75Kgの除草剤が埋設されたままとなっている。埋設地は集落からも近く、地下水への浸透も危惧される。
 原田議員はこの問題を取り上げ「現状はどうなっているのか、また、県として撤去に向けどのように取り組むのか」と質問。
 髙橋強生活環境部長は「専門家の指導でコンクリート被覆、囲い、標識を設置し、大分西部森林管理署が年2回の巡視を行っている。大雨や地震の際には、土壌の流出等がないか点検を実施しており、現在まで異常は確認されていない。昭和46年の埋設から長期間が経過しており、コンクリートの経年劣化や近年の地震・豪雨等の自然災害により、今後、環境への影響が懸念されることや、地域からの不安の声も踏まえ、県では9月に九州森林管理局に出向き、早期の撤去を要望した。国の動向を引き続き注視しつつ、早期撤去等に向けて国に粘り強く働きかけていく」と答弁。さらに佐藤樹一郎知事は「県として国に強く働きかけていく。」と重ねて答弁した。
 そのほか、原田議員は財政状況・災害対策・教育行政などを質問した。