森田展弘大分みらい信用金庫理事長新年あいさつ

森田理事長
本店みらいギャラーでは、
「みらっこ」たちも新年のごあいさつ

 新年あけましておめでとうございます。
 平素より大分みらい信用金庫に格別のご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。新春にあたり、地域の皆さまのご健康とご多幸ならびに益々のご繁栄を心よりお祈り申し上げます。
 昨年は新型コロナウイルス感染症の位置づけが「5類」に引下げられたことにより、行動制限が緩和され経済活動は一転して正常化に向かいつつあります。別府市においても飲食や観光などを中心に内外旅行者の急増により、コロナ前を上回るほど業績が回復した先も多々見られるようになりました。
 一方で、ウクライナやパレスチナなどをめぐる地政学的リスクの増大や円安の影響による、エネルギーや原材料価格の上昇が、業績回復の重荷となっています。さらに深刻なのは人材不足の問題です。ご承知のとおり、別府市内では特に夜間のタクシー運転手の不足が重大な問題となっています。また、観光関連以外でも、従業員不足や後継者難が顕著となっており、賃金や労働条件の改善、DXの推進等が喫緊の経営課題として顕在化しています。
 こうしたなか、当金庫では3年前より「コロナ禍からの地域復興支援」を経営の最優先課題として掲げ、お取引先の資金繰り支援や本業支援に注力してまいりました。今年は、従来から取り組んできた販路拡大やM&A、ビジネスマッチング等の施策に加え、専門人材のご紹介や業務効率改善に向けたDX推進のお手伝い、経費削減のお手伝い、海外進出支援等、さらに幅広く事業者の皆さまの課題解決のお役に立てるよう全力で取組んでまいる所存です。
 さて、話は変わりますが、いよいよ今年の7月に約20年ぶりとなる新紙幣が発行されます。約40年間にわたり一万円札の顔であり続けた大分県に所縁の福沢諭吉翁が代わってしまうことは残念ですが、新紙幣の一万円札の図柄には「日本の資本主義の父」として知られる渋沢栄一翁が採用されます。
 渋沢栄一翁は1873年に日本初の銀行である第一国立銀行(現みずほ銀行)の創設をはじめ、生涯でおよそ500の企業の設立、600の社会的事業に関わったと言われています。また、「論語と算盤」に象徴されるその理念は「道徳と経済の両立」であり、儲けのみを求めるのではなく、世のため人のために働いて儲ける、つまり公共の利益を追求することで皆が幸せになり、ひいては国が豊かになると説いています。
 この思想に影響を与えたのが信用金庫の原点である二宮尊徳翁の「報徳思想」です。その中で尊徳翁は「経済なき道徳は戯言(たわごと)であり、道徳なき経済は罪悪である」と説いています。
 信用金庫はこの思想を源流として、地域の方々が利用者・会員となってお互いに地域の繁栄を図る「相互扶助」の精神の基に設立された協同組織金融機関です。折しも渋沢栄一翁が新一万円札の顔になる今年は、改めて信用金庫の原点と使命を見つめ直すよい機会であると考えています。
 これからも信用(論語)と金庫(算盤)を両立させ、地元別府の発展と地域住民の皆さまの豊かな暮らしづくりに貢献できるよう尽力してまいる所存ですので、倍旧のご支援ご愛顧を賜りますようお願いして年頭のご挨拶とさせていただきます。