別府市と一般社団法人別府市産業連携・協働プラットフォームBーbizLINKは4日午後5時、大分港で令和6年能登半島地震の被災地へ別府温泉で入浴支援をするため出発式を行った。
被災地では、現在も断水が続いていることから、被災地の支援団体や自治体へ「幻想の湯」での入浴支援の情報提供をしたところ、石川県能登町と珠洲市が可能であればと要請があり、2カ所で実施することにした。
「幻想の湯」は、2019年に導入したもので、エアーハウス型(奥行10㍍、横幅10㍍、高さ6・4㍍、面積約87平方㍍)の移動型温泉施設。空気を入れて立ち上がるもので、浴槽は1つにつき約450㍑で、大人7~8人が入浴できるサイズ。
「別府温泉」を約10㌧の専用保温タンクで保温したままトラックで運び、能登町での1日目は別府温泉を給湯して被災地の人に入ってもらう予定。2日目からは、石川県七尾市の民間温泉施設「和倉温泉 総湯」の温泉を毎日汲み上げに行って利用する予定。能登町では、7日から20日にイカの駅つくモールで実施。球洲市では22日から3月6日に行う予定で、実施場所については能登町での支援期間中に現地を見て相談しながら決定するという。
第1陣は、別府市職員3人、ビービズリンク職員2人、給湯支援を行う㈱たまやから3人が被災地に行く。支援員を代表して、牧宏爾観光課長が「現地ではまだ満足に水が出ず、お風呂に入れない人が沢山いると聞きます。別府の温泉を持って行くことで、少し気を緩める時間を作ってもらい、皆さんに寄り添えるように頑張ってきたい」とあいさつ。
長野恭紘別府市長は「別府よりも寒い地域で、多くの人が震災と闘っている。断水が続き、避難所生活で厳しい生活を送っている人が沢山います。お風呂に入りたいといった皆さんの声がニュースを通じて入ってくる機会が増えてきた。『幻想の湯』は、2016年に熊本地震で私たちが被災し、同じ立場になった人を支援したいと皆さんと作ったもの。これまではイベントで活用してきたが、被災された人に寄り添う活用の仕方がようやく出来る。楽しみに待ってくれているというニュースもある。現地の人に寄り添って活動してもらいたい。活動するには、皆さんの健康が第一。一日も早い復旧・復興に向けて、市民の温かい気持ちと別府の温かい温泉を届けることで、少しでも心と体を休められればと思う」と激励した。
トラックは午後7時頃、フェリー「さんふらわあ」で大分港から出発した。