大分県とその周辺地域の“戦史”の研究者でつくる「豊州戦史研究会」(野﨑哲史代表)がこのほど、大分県の離島姫島について研究成果をまとめた「姫島戦史紀行」を発行した。
姫島は、近年ジオパークとして注目を集めており、戦史研究の視点から見つめなおす試みで「令和5(2023)年度おおいた姫島ジオパーク調査研究活動助成採択課題」として選ばれ、県内の団体としては初。
「姫島戦史紀行」は同年秋に有志5人が現地調査を行い、各自で史資料収集に努め、姫島村に残る戦争の痕跡やエピソードを探った。
同紀行の目玉は、戦時中に米軍が実施した海上封鎖作戦(飢餓作戦)を展開する中で、周防灘および姫島周辺海域に機雷を敷設した家庭を各種資料から示している。その機雷による被害は戦時中の民間船舶だけで無く、航路啓開(障害物を取り除いて車両や船舶などを通行可能にすること)の課程において戦後まで及んだことも分かっている。この史実は7月28日に別府市公会堂で行われる豊州戦史研究会の第4回研究発表会での基調講演として発表される予定。
同紀行の調査研究および書籍の発行に際しては「おおいた姫島ジオパーク推進協議会」から研究助成金を受けている。同書は、B5サイズで全76㌻。大分県立図書館、大分県公文書館を含め、県内の公立図書館や大学など約20カ所に寄贈しており、一部の図書館では貸し出しも可能。一般の人への頒布はしていない。