「ド地銀」めざす大分銀行

大分銀行第17代取締役頭取、高橋靖英氏

 全国地方銀行のなかでも堅調な業績を誇る㈱大分銀行は28日午後6時、ビーコンプラザで24年度経営説明会を開いた。
 第17代取締役頭取(代表取締役)に就任ホヤホヤの髙橋靖英氏(61)がデビューステージを飾った。前任の後藤富一郎頭取は取締役会長に就任。
 経営説明会には市内の取り引き企業代表や経済団体代表、大銀役員ら180人が出席した。
 高橋頭取はまず1893(明治26)年創立の大分銀行誕生から130年を経た社歴概要を解説。1920(大正9)年に勃発し、全国を飲み込んだ恐慌の影響で22(大11)年12月、取り付け騒ぎによって休業。時の4代目頭取小野駿一が事態打開のため、日田市出身の井上準之助日銀総裁、中津出身の和田豊富士紡績社長に再建支援を求め、大阪市加島銀行の協力を得て、24(大13)年復活を迎えた。井上準之助が大分銀行再建にはたした役割に加え、あくまで地方銀行は「地方有志の引き受け株に配慮」という銘言要旨などを記述した井上直筆の書状も現在役員会議室に展示している旨を紹介。また「助けられた」側面と「助けた」側面として、出光興産が23(大12)年、恐慌の影響で融資返済を迫られた。出光のメインバンクと同額を融資するという自社再建と取り引き先支援という二律背反の離れ技も、社歴を飾るドラマとして紹介された。
 さて、大銀の経常収支について、本年3月経常収益は617億円。対前年3億円の減だが、経常利益は10億円増の75億円。総預金は3兆5467億円、貸出金は2兆1619億円。有価証券残高は1兆4007億円、同評価損益は236億円となっている。
 大銀の基本的な経営方針として、▽ステークホルダー(従業員、株主、顧客、取り引き企業などの利害関係者)との価値観の共有と、未来志向の関係性創造▽中期経営計画の全体創造▽法人営業の強化▽野村證券との包括業務提携の進化▽企業価値向上に向けた資本政策の取り組み――などを掲げた。
 高橋頭取は「関係省庁から大銀はもっと大手企業への連携を深めてはどうかというアドバイスを頂いておりますが、『ド地銀』を目標に地方銀行の存在意義を深めるため地元に徹した方針を貫いていきたい。証券部門は野村證券と提携しました。企業文化の全く違う双方の営業はかえって新鮮な企画、営業力の拡大が有効にはたらいています。今後は『ド地銀』というテーマをもって、県内38%の株主への還元をはじめ、新規地元株主や大銀ファン拡大を狙って歩を進めていきたい」と意気込んでいる。
 【高橋靖英頭取のプロフィール】▽1963(昭和38)年生まれ。神戸大学卒業と同時に大分銀行入行。05(平成17)年えのくま、09(平21)年博多両支店長、12(平25)年本社営業企画部長、16(平28)年執行役員、19(平31)年常務取締役経営戦略本部長、21(令和3)年専務取締役。座右の銘は「疾風に勁草を知る」。趣味はランニングと温泉巡り、大相撲観戦。ゴルフは100を行ったり来たり。酒は何でもOKとか。