VRで当事者や家族を疑似体験

VRゴーグルをつけて、
認知症当事者の気持ちなどを体験

 別府市社会福祉協議会は、22日午後1時、亀川中央町二区公民館で「VR認知症体験会」を開催した。地域住民約20人が参加した。
 認知症になっても地域で元気に暮らすには、家族や周囲の正しい理解と対応が重要となる。当事者の立場や家族の立場になって、VR(仮想現実)で体験することで、自分や周囲の人が認知症になった時にしてほしいこと、対応について考る機会にしてもらう。また、一緒に意見を出し合うことで、認知症を取り巻く環境と課題を考え、認知症の人にも優しい地域づくりを目指す。
 株式会社シルバーウッド(千葉県)VR事業部の黒田麻衣子さんがオンラインで講師を務め、「やすおじいちゃん物語」など3本のVR体験をした。認知症を患っているやすおじいちゃんがいつものように万年筆を探していると、家族は「またか」という対応で息子は厳しく叱責するなどすることが続き、家を出ていくようになるケースと、息子と孫が「一緒に探してあげる」と万年筆を探したりする対応を続け、やすおじいちゃんは穏やかに暮らすというケースを見て、周囲の対応次第で変わることを理解した。
 VRを見たあと、みんなで意見交換をして「身内だけに、つい強く言いがちになる」「優しい言葉が大切」「一度は受け入れることが大切だと思った」などと話した。黒田さんは「認知症の人は、記憶力は低下しますが、感情は残ると言われています。症状は人それぞれで、理解されないことが多く、社会的偏見が多い。コミュニケーションの仕方など、症状の裏側にある気持ちを知ることが重要だと思います」などと話した。
 社協では、10月8日午後2時から、市公会堂で認知症市民講演会「認知症とともに生きる」を開催予定。丹野智文認知症当事者の相談窓口「おれんじドア」代表が講演を行う、定員は300人。申し込み・問い合わせは、社協(電話26・6070)へ。