別府商工会議所の景況調査

別府市内100社が回答した

 別府商工会議所はこのほど、2024年1月から3月の企業景況調査を発表した。今回で42回目。
 今回の調査では「旅行客を取り込むにあたって実施されていること」を尋ねた。選択肢は「その他」を除き8つ。質問に「旅行客」とあるので「旅行客」もお客さまとする業種とそうでない業種とで回答内容は異なっている。お客さまに含まれると予想する「飲食・サービス業」と「宿泊業」では「SNSによる情報発信]が4社に1社の割合で実施されていた。また「自社ウエブサイトの作成」と「決済環境の整備(カード・スマホ決済)」も5社に1社で実施されている。これらの割合が高いまたは低いかの判断に苦しむが、別府市民や通勤・通学客のみをお客さまとするのではなく、旅行客をもお客さまとして認識し、商品や役務を販売することは将来的に大きな経営課題となっていくことは十分に予想される。
 市内の会議所会員100社に、調査票を発送し回答を得た。調査項目は売上高、売上単価、資金繰り、借入難度、収益状況、雇用人員、自社の業況判断。
 ▽売上高=総合DI(※DIとは、企業が「良い」と回答した割合から「悪い」と回答した割合を引いた数値。数値が高いほど良好)は24・0と前回(31・0)より7ポイント悪化した。来期見通しは25・0であり今回調査とほぼ同値を予想している。大分類でみると前回では10・0とプラスだった「もの造り関連」が15ポイント悪化のマイナス5・0となった。「もの造り関連」2業種のうち、建設業が前回のマイナス10・0から今回は20・0と大きく改善した一方で、製造業は30・0からマイナス30・0と60ポイントも悪化した。7業種でマイナスDI値は他に「小売業」がマイナス30・0となっており、両業種は来期見通しもマイナスを予想している。「飲食・サービス業」は70・0、「宿泊業」は50・0と大きなプラスであった。コロナ禍終焉による正の効果・恩恵を受けていると言えそう。
 ▽売上単価=総合は前回の38・0から今回は36・0とほとんど変化のない結果となった。大分類では「サービス業関連」が35・0から57・5と躍進した一方で、「もの造り関連」は40・0から15・0へ25・0減、「卸・小売業関連」は40・0から25・0と15・0減少している。2つの大分類ともにプラス値は確保できているものの、大きな減少となっていることが懸念される。
 ▽資金繰り=総合はマイナス1・0とプラスまでもう一歩の水準まで近づいた。大分類では「もの造り関連」がマイナス5・0(前回比マイナス10・0)、「卸・小売業関連」がマイナス7・5(マイナス15・0)とマイナスであるものの、前回より改善されていることに注目したい。「サービス業関連」は7・5(プラス7・5)とプラスを確保できているものの、「飲食・サービス業」と「宿泊業」とが売上高や売上単価のDI値で高い水準を示したことを考えると改善幅がもう少し高くても良かったのではないかと思料する。
 ▽借入難度=総合の値は前回と同じくマイナス4・0となった。業種別では「製造業」が前回比で10・0ポイント悪化の0・0、「小売業」が25・0ポイント悪化のマイナス10・0と、この2業種が悪化している。「卸・小売業関連」の「卸売業」が5・0と前期比で10ポイント改善したのと比較して「小売業」の借入困難度悪化が際立っている。総合の来期見通しはマイナス4・0と今回実績と同じ。来期見通しでマイナス予想は「飲食・サービス業」と「医療・福祉業」でともにマイナス20・0を予想している。
 ▽収益状況(経常利益)=他のDI指標と比較して本指標は悪化方向へ大きく動いている。総合の前回は11・0であったが今回は2・0と9ポイント減少した。他の指標で良好であった「サービス業関連」も7・5ポイント悪化するなど、3つの大分類全てで悪化した。業種では「宿泊業」が40・0と前回比で10・0ポイント改善、「卸売業」が20・0と前回より20・0ポイント改善したことに注目したい。総合の来期見通しは8・0と改善されると予想しており経営者の期待値が表れている。
 ▽雇用人員=総合は前回と同じくマイナス35・0だった。前回は全7業種がマイナスDI値であったが、今回調査では「医療・福祉業」がプラスではないものの0・0となっていることに注目したい。「医療・福祉業」は個人事業主が多いこと、雇用者がいないまたは少ないことも反映していると思料するものの、マイナス値から脱却する兆しがある事を指摘している。
 ▽自社の業況判断=総合は12・0で前回の10・0とほぼ同じだった。業種別では「飲食・サービス業」が55・0、「宿泊業」が50・0と大きなプラス値を示している。この2業種も来期見通しは35・0または10・0へと落ち込みを予想していることが気がかり。総合でも来期見通しは4・0と慎重な姿勢を経営者は持っている。