別府商工会議所はこのほど、2024年4月から6月の企業景況調査を発表した。今回で43回目。
今回の調査では調査件数と対象業種を見直した。調査件数を100社から75社へ削減。対象業種は▽卸売業と小売業を統合し卸小売業▽サービス業関連業種を飲食業と宿泊・サービス業―に再編成した。その結果7業種から5業種へ調査業種が絞り込まれた。なお、もの造り関連、卸小売業関連、サービス業関連の大部類区分に変更はない。
今回調査では「コスト上昇分の価格転嫁の状況」について訊ねた。価格転嫁できた割合を「一割程度」から「その他」を加えて選択肢が8つあった。全体では「一割程度の転嫁」の回答率が32%と最も高かった。なお「わからない」(19%)と「その他」(27%)は「転嫁割合はゼロに等しい」という見方もできることから、「コスト上昇分を価格転嫁できた割合が一割以下」と考えられるのは78%にも達している。大分類でみると「転嫁割合一割以下」の割合はもの造り関連で68%、卸小売業関連で70%、サービス業関連で87%となっている。サービス業関連での価格転嫁割合が極めて低くなっている。総じてコスト上昇分の販売価格への転嫁が中々進んでいない実態が浮かび上がってくる。
市内の会議所会員75社に、調査票を発送し回答を得た。調査項目は売上高、売上単価、資金繰り、借入難度、収益状況、雇用人員、自社の業況判断。
▽売上高=総合DI(※DIとは、企業が「良い」と回答した割合から「悪い」と回答した割合を引いた数値。数値が高いほど良好)は8・0であった。前回は24・0であったので16ポイントも悪化した。来期見通しは4・0を予想しており、今期実績より更に悪化すると予想している。前回での来期見通しは25・0と調査結果(24・0)とほぼ同値であった。このようなDI値の動きをみる限り、会員企業の経営者は売上高に関し悲観的な見通しを持ち始めた。
▽売上単価=売上高DI値まではいかないまでも、本指標でも前回より後退傾向にあることが伺いしれる。総合の今回は21・3で前回の36・0より14・7ポイント悪化した。来期見通しは13・3と更に8ポイント悪くなると予想している。救いとしては二桁の水準を維持している。
▽資金繰り=総合では前回(マイナス1・0)から5・7ポイント悪化のマイナス6・7の実績となった。前回では7・5とプラスであったサービス業関連が今回はマイナス6・1とマイナスに転じてしまった。業種別では前回の7業種中3業種でプラスであったところ、今回では5業種の全てがマイナスとなっている。最も良いのが飲食業のマイナス5・0、最も悪いのが卸小売業のマイナス10・0と業種間で大きな差異はないものの、全業種でマイナスになったことは看過できない事実。
▽借入難度=明るい兆しがある。総合はプラス値の1・3と前回(マイナス4・0)より5・3ポイント改善した。大分類でももの造り関連が4・5と前回(ゼロ)より4・5ポイント改善、卸小売業関連はゼロと前回(マイナス2・5)より2・5ポイント改善した。一方でサービス業関連はマイナス9・1とマイナスであると同時に前回(マイナス7・5)より僅かではあるものの1・6ポイント悪化したことが気がかりである。
▽収益状況(経常利益)=もの造り関連が前回(マイナス35・0)からマイナス13・6に、サービス業関連が前回(27・5)から30・3へと改善されている一方で卸小売業関連が前回(マイナス5・0)から10ポイント悪化しマイナス15・0となった。その結果、総合では前回の2・0から4・7ポイント悪化のマイナス2・7とマイナスとなってしまった。来期見通しでは3つの大分類全てで悪化を予想しており、総合ではマイナス9・3と今期より6・6ポイント悪化すると経営者は考えている。
▽雇用人員=プラス要因を探すことが困難なほどDI値は最悪の状況が継続している。改善点を探すとすればもの造り関連が今回マイナス36・4と前回(マイナス55・0)より18・6ポイント良くなったことしか上げることができない。
▽自社の業況判断=サービス業関連が18・2とプラスであった。構成する2つの業種、飲食業(20・0)と宿泊・サービス業(15・4)はともにプラス。しかし前回(40・0)と比較すると21・8ポイントも悪化しており、手放しに喜べる状況ではない。総合と3つの大分類全てで来期見通しが今期よりも悪くなると予想していることも指摘しておきたい。