別府市は、区営温泉管理者意見交換会を13日午前10時から、市中央公民館で開催した。30日に予定していたが、台風10号の影響で延期していた。約30人が出席した。
長野恭紘別府市長が「共同温泉文化は最も重要な地域コミュニティの1つで、絶対になくすわけにはいかないという使命感もあるが、担い手不足、入浴者の減少などの中で、皆さん苦労されていると思います。我々の役割を果たし、どう共同温泉を守っていくか、率直な意見をもらいたい。できるだけ多くの人の手で文化を守っていけるように、協力、連携していきたい」とあいさつ。
今年5月28日から6月28日まで、市有区営温泉69施設、区有区営温泉13施設にアンケートを実施。回答率85・4%の内容から、課題について情報を共有した。
管理をする中での困りごと(複数回答)では、管理者の高齢化、組合員数の減少、入浴者数の減少、施設・設備の老朽化、管理者の担い手不足については、半数以上が「困っている」と答えた。他にも施設改修費や運営資金などのお金の問題や清掃員の担い手不足、番台の担い手不足、維持管理の知識・技術等の継承などがあげられた。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入については、74・3%が「考えていない」と答えた。理由としては「活用方法が分からない」「活用するメリットが明確ではない」「情報漏洩などのリスク」「コストが高い」「管理者や組合員が高齢化しており、導入に理解が得られない」「組合員のみの利用で、必要を感じない」などの意見があった。
先進事例として、天満温泉の防犯カメラ設置、大仏温泉のデジタル化、冷却施設の活用、鉄輪すじ湯のマイ温泉組合員制度の導入、公式ラインを活用した情報発信が紹介された。
別府市として、共同温泉間での情報共有の仕組みづくりやDXの導入支援などの担い手不足解消のための支援、広報支援、既存の補助制度の見なしなどを検討していくことを説明した。
出席者からは「共同温泉にはトイレがない所がある。地元の人は分かっているが、観光客は断っている。設置には大幅な改修が必要になる」「一番困っているのは、清掃。当初は町民が順番でやっていたが、現在は業者に頼んでおり、ウェイトが一番高い」「レジオネラ菌の分析を大分市にある県薬剤師会に持ち込んでいるが、すぐ分析できるように、東部保健所でも出来ないか」「給湯をしているが、午後11時から翌朝6時までは施設を閉めているが、給湯はされている。閉めている時間分の給湯料金をカットしてもらえないか」などの意見が出た。
また、他の共同温泉から「観光客も多く訪れるが、熱いと入れない。デジタルの温度計をつけて温度が分かりやすいようにしている」「ひとまもり・まちまもり協議会に温泉部会をつくり、レジオネラ菌の検査をまとめてやっている」などの工夫も紹介された。
樋田英彦温泉課長は「課題は個々に違うと思う。各施設にヒアリングをして、どういった支援ができるか一緒に考えていきたい」とした。