別府市社会福祉協議会は、令和6年度別府市認知症市民講演会を8日午後2時、市公会堂で開催した。約200人が参加。
社協は、認知症地域支援推進員を配置して、認知症になっても住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられる地域づくりを推進している。講師は、39歳の時に若年性アルツハイマー型認知症と診断され、認知症当事者の相談窓口「おれんじドア」の代表の丹野智文さんで、テーマは「認知症とともに生きる」。
阿部万寿夫副市長が「75歳以上の5人に1人が認知症になると言われています。家庭や地域、事業所などすべての人が支え、住み慣れた地域に安心して暮らせる地域共生社会の実現を目指しています。当事者にしか分からない思いがあると思います。自分らしく生きるために一緒に考えたい」とあいさつ。
丹野さんは「33歳ぐらいから物忘れを感じるようになり、顧客が分からなかったりしていた。そのうち、同僚のことも分からなくなり、病院にいったら若年性アルツハイマー型認知症と言われ、妻に心配をかけまいと毅然としていましたが、アルツハイマー=終わりだと思った」と当時を振り返る。会社に伝えると、社長は働ける環境を作ってくれ、仲間にも恵まれて仕事を続けることが出来ているという。
「たくさんの人に出会い、アルツハイマーになったことは、終わりではないと思えた。見た目では分からないので、当事者だと気づかれないことが大変。普通にやろうとしてもうまくいかず、嫌な気持ちになった。病気をオープンにすることは葛藤がありましたが、中学時代の部活の仲間に『お前が忘れても、俺たちが忘れないから大丈夫。忘れないように定期的に会おう』と言ってくれて、オープンにすることが出来た。認知症でも自分の考えや気持ちはあるので、先回りして何でもやってあげないようにしてほしい。出来ることを奪わないでほしい。時間がかかるかもしれないが、見守ってほしい。周囲の力を借りて課題を乗り越えていくことが大切」などと話し、家族とのエピソードなども紹介した。