別府市は、第1回平尾邸利活用方針検討委員会を15日午前10時、おひさまパークで開催した。委員は、学識経験者や専門知識を持つ人、地域、観光関係者など9人で構成されている。
平尾邸は、大正6(1917)年に別府銀行頭取の平尾謙平氏がゲストハウスとして建設した、洋館の2階建て。1階は洋室で、各洋室で違った装飾で彩られた漆喰レリーフにはシャンデリアが施され、精巧な左官仕事を見ることができる。2階は和室で、かつては宴会場として使われていたとみられ、縁側からの景色は開放感があり、庭園全体を眺めることもできる。雨漏り跡や部材の痛み等が一部にあるものの、数年前まで平尾家の自宅として使用されていたことから、保存状態は概ね良好。熊本地震などの影響もなかったが、一般公開を前提とする場合、耐震補強は必要と考えられる。
敷地内には和館も建っており、建築年代は分かっていないが、洋館よりも古いとみられている。敷地の一部が道路拡幅の対象となっており、取り壊されることが危惧されていた。「別府市の財産として活用してほしい」との申し出を受けた。
委員会では、井上正文大分大学名誉教授を委員長に選任。平尾邸の概要の説明や歴史的建造物有効活用事例として、兵庫県の大庄屋三木家住宅(NIPPONIA播磨福崎蔵書の館)、旧辻川郵便局(妖怪ブックカフェ)、大阪府岸和田市の五風荘の取り組みを紹介。実際に平尾邸を見学した。
委員からは「日中開いているものが良いのでは」「気軽に人が寄れるものが良いのでは」「民泊的な考えもありなのでは」など様々な意見が出た。委員会は3回開かれ、今年度内に方針を示す予定。