別府市消防本部と市消防署は「令和6年度集団救急訓練」を6日午後1時、市消防本部庁舎周辺と市消防訓練場で開催し、市消防署第2中隊非直員30人、別府市医師会立別府青山看護学校33人が参加した。
別府市救急業務計画改正に伴い、集団救急事故事案を想定し、適切かつ迅速な初動対応から事案収束まで、計画に沿った組織体制が図れた活動ができること。またタブレット端末などの情報共有ツールを使って医療機関への分散搬送ができるかが目的。
訓練内容は、市内で発生した大型バスによる集団救急事故を想定した。
午後1時、訓練の救急指令が入電。先着隊が現場に到着。バスの中にいるケガ人の状態およびトリアージ(災害時の消防活動で優先順位をつけること)、車外に歩いて避難した看護学生の模擬患者の状態や人数の把握に務めた。
廣畑祥司第2中隊長ら後続隊が資機材を運んできた。廣畑中隊長の指示で、救急隊ほかの署員が各自の持ち場に向かった。バスの中にいるトリアージが赤(優先順位1位、最優先治療群、重症群)をバックボード(負傷者の前進を固定し、状態の悪化を防ぐ固定器具)に慎重に乗せて運び出し、安全な場所で応急手当を行った。続いて、トリアージが黄(第2位、待機的治療群、中等症群)を救助。歩いて車外に避難していたトリアージが緑(第3位、保留群、軽症群)の人たちには体温を下げないように毛布が配付された。
救助と並行して市消防訓練場に大型テントを設営され、災害派遣医療チーム「DMAT」の到着を待った。DMATは到着すると、廣畑中隊長に現状を確認。消防署員が傷病者をテントに運び込み、DMATはテントに移動し、資機材を使い胸骨圧迫やキズの手当、血圧測定などを実施した。その後は傷病者が順番に各病院へ搬送されていった。
井元隆文別府市消防署長は「普段はケガをした人一人に対して救急車が一台ですが、今回はケガ人が30人、その中でも重症度が高くて緊急的な医療処置が必要という状態の対応をする訓練。決まった訓練では答えが出やすいのですが、今回は事前に状況を教えない『ブラインド型訓練』とし、隊員の対応力を鍛えることを目的としました」と話した。