桝田貢県議の12月議会一般質問

桝田貢県議会議員

 去る5日定例県議会の一般質問に立った別府市選出の桝田貢議員は▽観光振興▽環境保全▽育児、教育などの分野で質問、県当局の方針や具体的施策を問いただした。主な質問内容と当局答弁は次のとおり。

桝田貢県議の質問
 ▽産業の振興について、観光・ツーリズムは大分県の地域づくりにとって大変重要なテーマであり、「地域の特色を活かしたツーリズムの推進と観光産業の振興」は、地域に元気をもたらす国内誘客・海外誘客の推進と、観光地域づくりの2つの柱に施策を展開するとしている。
 コロナ禍を経た旅行需要の変化により、「持続可能性」への関心が高まる中、「サステナブル・ツーリズム」を推進する動きが世界中で活発化している。
 先般、本県観光局は米国カルフォルニア州のソノマカウンティツーリズムと持続可能な観光地域づくりを主とした友好と相互協力に関する覚書を締結した。
 今回の覚書の締結の意義と持続可能な観光地域づくりをどのように受け止めているか。

佐藤樹一郎県知事の答弁
 人口減少・少子高齢化が進む中、交流人口や関係人口の拡大につながる観光の振興は、地域活性化に大いに寄与する。一方、人手不足や一部地域でのオーバーツーリズム等の問題も生じており、持続可能な観光地域づくりが急務となっている。
 県が先月、サステナブルツーリズムの先進地域であり、豊かな自然や酒、温泉など本県との共通点も多いアメリカ・カリフォルニア州ソノマ郡のソノマ・カウンティツーリズムと「友好と相互協力に関する覚書」を締結した。
 ソノマでは「人・地球・利益」を持続可能性の3つの柱としている。この姿勢は、本県における持続可能な観光地域づくりにも大変参考になるものであり、今回の相互協力を通じて、ソノマの優れた取組みを学び、取り入れていきたいと考えている。
 一方、別府のウェルネスツーリズムや、この度ガイドラインを新たに整備した安心院のグリーンツーリズム、更には各地の温泉旅館におけるおもてなし等は、ソノマにも参考にしてもらえる本県の強みと考える。
 来年開催される大阪・関西万博の機会も活用し、ソノマの皆さんにも大分に来ていただいて、相互交流を深めていきたいと考えている。
 今後とも、地域住民と観光客双方の満足度を高めながら、地域資源や自然環境を将来にわたって維持するとともに、地域経済にも好循環をもたらす、持続可能な観光地域づくりに努めていきたい。
   ◇  ◇
 ▽「河川の草刈り」について質問
 近年、災害が頻発・激甚化している。いかに被害が拡大しないようにするかが大切。今回はその中で、日頃のメンテナンスとして重要な「河川の草刈り」について議論したい。
 河川の草刈りは、洪水による災害の発生につながる堤防の変状などの状態把握を目的とした点検などを実施しやすくする。また、河川利用にあたっての安全を確保するとともに、ゴミ等を捨てにくい環境の形成のほか、防犯上の観点からも犯罪の誘発を抑制することにつながるとも言われている。
 河川の草刈りについて今後どのように取り組んでいくのか。

 五ノ谷精一・県土木部長の答弁
 治水上支障となる草木については、河床掘削などと併せて除去を行うとともに、堤防の草刈り等についても、防災上の観点から必要に応じて実施している。また、河川の環境保全を目的とした草刈りについては、「リバーフレンド」事業により地元の自治会やボランティア団体の活動を支援しているほか、参加者の負担軽減を図るため、ラジコン草刈り機を5台導入した。今後も導入していない地域に順次配備し、河川の環境保全活動を後押ししていく。
 一方、議員ご指摘の通り、草が生えないよう恒久的な防草対策も大変有効である。昨年度からリバーフレンド事業参加者の意見や「多自然川づくり」の観点等を踏まえ、堤防天端の簡易舗装などの防草対策に取り組んでおり、これまで26河川で約20キロメートル実施した。引き続き、地域の声を聞きながら、河川環境整備に取り組んでいく。
   ◇  ◇
 ▽病児保育の充実について質問
 私たち若い世代にとって一番大事な政策テーマは、やはり人口減少への対応。人口が減っていくことで、経済力が低下し、社会保障の負担や地域社会の維持といった問題もより大きくなっていく。若い世代ほど、人口減少により大きな影響を受ける。
 対策としては、何と言ってもこともたちを増やしていくことが重要であり、そのために、本県では、「子育て満足度日本一」を掲げこれまで取り組みを進めてきた。
 数ある子育て支援の中でも、私が特に重要だと考えるのは、病児保育の充実。働く親御さんたちの心配事は、こどもが病気になった時の対応。本県でも、病児保育の充実に向けた支援に力を入れており、利用者が居住地だけでなく他地域の施設まで利用できるよう、県内全域で広域化協定を締結するとともに、利用者がスマホ等で空き状況を確認できるよう県でシステムを導入している。
 こうしたことを踏まえ、病児保育の充実に県としてどのように取り組んでいくのか。

 工藤哲史・県福祉保健部長の答弁
 県内には17市町で32の病院・病後児保育施設が運営されており、コロナ禍においても、令和3年10月から全国で3番目、九州初のオンライン予約システムを導入するとともに、居住市町村を超えた広域利用を可能とし、利用者の利便性向上を図ってきた。さらに、施設の空き状況が24時間確認できることから、施設の稼働率向上にもつながっている。
 昨年度の県民意識調査では、認知度は概ね9割に上がっており、引き続き、妊娠届出時や出生後の全戸訪問等、伴走型相談支援の機会を通じ、新たな乳幼児家庭にも随時周知を図っていく。
 感染症の流行期など利用者の急増にも対応できるよう定員数を確保している。こうした取組みにより、こどもの急な体調不良の際にも、安心して利用できる体制を確保しており、市町村と連携しながら、子育て世代の仕事と育児の両立を支援していきたい。

 桝田県議はこの他、▽芸術文化を活用した産業振興▽プラスティックごみ対策▽学校卒業後における障がい者の学び▽サイバーセキュリティ対策――を質問、当局の見解を質して県政報告を充実させていきたいとしている。