「SARABiO」RG92に注目

RG92投与により成魚まで育成した養殖ニジマス

 SARABiO温泉微生物研究所(濱田茂代表取締役会長=本社・市内鶴見1356番地)は、温泉微生物を活用した革新的な免疫活性エキス「温藻RG92」を開発し、陸上養殖サーモンの斃死率低減に成功。ふ化率の向上から種苗の健全な成育、さらには出荷までをトータルで支援する新たな取り組みを加速している。
 SARABiOが別府温泉から発見した新規微生物由来エキス「RG92」(特許取得済)は、高い抗炎症、抗糖化、抗酸化作用を併せ持ち、魚類の発育を促進しつつ病気などを抑制することが実証された。
 2024(令和6)年、2月~12月にかけて北九州の陸上サーモン養殖場(地下水利用)で実施された試験では、以下の成果が確認された。
 ▽RG92投与群では、魚同士が衝突することによって生じる事故死を前年比約90%以上減少。
 ▽投与群は24℃でも斃死は観察されず、水温への耐性向上が実証された。
 ▽投与により、バクテリアの付着が抑えられるなど、水質の改善が確認された。
 SARABiOは、水道水を利用し、発眼卵から稚魚まで育成する独自のプロジェクトに成功。このプロジェクトでは、ふ化率や成長率に与える影響を科学的に検証している。さらに、日本大学生物資源科学部との共同研究(温泉藻類由来成分RG92投与ニジマスの健苗性評価)で、血液検査や細胞試験を通じて、免疫向上の具体的なメカニズム解明を目指している。
 免疫を向上し健康リスクを軽減する「温藻RG92」
 SARABiOは、2006年に温泉に生息する微生物である「藻」の研究を開始し、日本で初めてその健康効果を科学的に解明した。2011(平成23)年別府温泉に内包する植物由来の藻類から抗炎症、抗糖化、抗酸化作用を持つ新種の微生物「温藻RG92」を発見。2015(平27)年1月=特許を取得(特許第567602号)。このあと同年7月には経済産業省の「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)」に採択。久留米大学と共同で3年間にわたる動物試験を実施。ヒト試験(二重盲検試験)を実施。インスリン抵抗性の改善効果を確認。国立長寿医療研究センター炎症・免疫機構研究部と共同研究を進行中(温藻RG92の慢性炎症に対する制御効果)。東京大学と共同研究を進行中(温藻RG92のアルツハイマー病予防における効果)――など温藻成分をベースとした各種の実験開発に枚挙にいとまのない研究を重ね今日に至っている。冒頭の「サーモン」の育成結果は来年3~4月とされ、その結果に注目が集まっている。