
グランプリに輝いた近藤さんと作品

受賞した一木律子さんの作品
「竹・ルネサンス」実行委員会(岩尾一郎会長)は「第61回くらしの中の竹工芸展」の表彰式が27日午前10時30分、別府市竹細工伝統産業会館2階会議室で実施した。
今回は76人が91点を出品した。
表彰式で、岩尾会長から参加した受賞者一人ひとりに手渡された。
主催者を代表して岩尾会長が「受賞者の皆さんは、本工芸展のテーマである『竹の器と暮らす心豊かな生活』にかなった伝統的な竹細工の技法をいかしつつ、新しい感覚で表現された作品を出品いただき、見事に受賞されました。この度の受賞を励みに、更なる研鑽に努めていただきまして、今後も新たなことに挑戦し続ける思いを絶やすことなく、より素晴らしい作品の制作に取り組んでください」と式辞。
来賓紹介後、来賓の阿部万寿夫副市長(市長代理)が「竹工芸を取り巻く環境が大きく変化する中で、皆さま方が伝統的な技術を生かしつつ時代にあった新しい物作りを続けていることに感慨を覚えるとともに、竹工芸の明るい未来に期待を抱いています」をあいさつ。
審査員を紹介し、中臣一審査委員長(竹工芸家)が「力作が多く審査員の総意として『審査が難航する』と言っていたが、予想以上にもめることなく決まった。皆さんの作品が惹きつけるものがあったからと思います」と審査講評した。
受賞者を代表してくらしの中の竹工芸展賞(グランプリ)と特別賞を受賞した近藤雅代さん(47)が「竹工芸が今、認められているのは先人、先達のたゆまぬ努力の結果であることに感謝し、今後も別府竹細工の素晴らしい伝統を受け継ぎ、竹工芸の可能性に挑戦してまいりたいと思います」と謝辞を述べた。
展示会の期間中、審査委員による審査講評を館内でビデオ上映している。
なお作品展は2月16日まで。時間は午前8時30分から午後5時。
グランプリなどを受賞した近藤さん=栃木県足利市出身=は「2020年ぐらいから岐部先生を師事しています。別府に13年に移住し、竹工芸訓練センターを15年に修了しました。修了した直後は、高江雅人先生を師事し、竹工房オンセで修業させていただきました。オンセを卒業後、岐部先生に弟子入りしました」と経歴を語った。
今回の受賞を受けて「努力が報われたと思います。ユニークな作品を作りたいと思っていて、今回は正面は差し六つ目編み、側面はござ目編みを使って制作し、全体的な美しさを表現しました」。
人間国宝で師匠の岐部正芳さんは「今回の作品は非常に難しい作り。別府に伝わる技法の中では、少し新しい感覚。上手くこなせるだけの成長がある。これだけ新しいことができていくということは、いろんな面で良いこと。その技術は後にも繋がっていく」とそれぞれ話した。