別府市消防署・別府警察署・大分県警機動隊の合同訓練が27日午後1時30分、旧山の手中学校で実施され、別府市消防署6隊18人、別府警察署25人、大分県警機動隊5人の計48人が参加した。
想定は「別府市でマグニチュード7・5の地震および地震に伴う津波が発生。津波はすでに引いているが、中学校の1階部分が倒壊し上の階に逃げ遅れた人が多数いる」というもの。今回は、事前に状況を教えない「ブラインド型訓練」として、参加者や参加団体の連携や対応力を鍛えることを目的とした。
訓練の前に訓練開始報告を受けた染矢憲康別府警察署長が「これだけの人数が集まることはありませんし、このような現場を想定できるような校舎を使った訓練はできません。非常に実践的な訓練ができると期待しています。災害はいつ起こるか分かりませんので、いつ起こってもいいように訓練を行い、反省すべき点を今後に活かしてください」とあいさつ。
大分県警機動隊、別府警察署員、別府消防署員が現場に到着し指揮本部を立ち上げ、ドローン小隊が発進可能状態にあるところから、訓練がスタート。
別府市消防署ドローン小隊が情報収集として、要救助者の検索を行い、2階に歩行不可1人、歩行可能3人、屋上に歩行不可1人、歩行可能1人を発見した。そのほかの消防署員・救急隊員・別府署員・大分県警機動隊員が到着。情報共有した後、屋上に行く班と外から応急はしごをかけて2階に進入および歩行可能者の救助の班に分かれた。
屋上にいた歩行可能の救助者は、介添えしてグラウンドに移動した。歩行不可の人はタンカに載せて、アリゾナボーテックスという機材を使い屋上と地上の間にロープを張り斜め救助を行った。
2階にいた歩行可能の救助者は、窓にかけられたはしごを使って屋外に降りた。また歩行不可の1人はタンカで屋外に救出された。
その後、消防署員、別府警察署員、大分県警察機動隊員は要救助者がいないか検索すると、3階に要救助者が2人いることが分かり。崩落により閉じ込められていることが判明。機動隊員がチェーンソーで丸太を切断し室内に進入できるよう。そこで、消防署員らが進入し要救助者2人を廊下まで出してタンカに乗せて屋外に救助した。
訓練終了式で、訓練終了報告を受けた浜崎仁孝消防長が「本日の訓練においては、お互いに連携を取ることの難しさ、協力し任務をあたるときに発揮される相乗効果を体験できたのではないでしょうか。消防本部も都市型救助資機材やドローンなど新しい資機材を取り入れながら、技術を磨いています。今後も合同訓練を継続的に実施し、連携を強化したいと思います」。
染矢別府警察署長は「非常に良い訓練ができたと思います。今後いつ起こるか分かりませんが、起こった際はこの訓練を活かして現場で活動してください」とそれぞれ講評した。
訓練終了後、別府警察署の野仲優樹警備課長が「南海トラフ地震の発生確率が高まっていることを受けて、連携の重要性が大事と考えたため行いました。建物を使った合同訓練は別府警察署管内では初めてで、連携の難しさを感じましたが、訓練の意義が重要と改めて感じました。今後も継続的に実施し役立てていきたい」。
井元隆文別府市消防署長は「予想される南海トラフ地震、近年の集中豪雨などの豪雨災害の際は、組織力は違いますが警察と消防の2つの力を最大限に活かすためにも、今後具体的な訓練を積み重ねて連携を強めていければ。現場での無線、声かけなど指示の様子が違うので難しさを感じました。訓練でその難しさを解消できればと考えています」とそれぞれ話した。