九州初のソーシャルホテルに

「これから連携していきたい」と
竹内社長(右)と管社長
来春新しいホテルとして生まれ変わる

 大分ヤクルト販売株式会社(竹内孝夫社長)は運営していた別府市石垣東の「ホテルサンバリー」を飲食業の株式会社グレイス(管卓明代表取締役、大阪市)に売却、新たに九州初のソーシャルホテル「DTRAM BEPPU=ドリーム・ベップ」として来春オープン予定であることが分かり、1月31日、双方が取材に応じた。隣接する「サンバリーアネックス」(150室)は引き続き、大分ヤクルト販売が経営する。
 ホテルサンバリーは、客室98室。2020年春から休館をしていた。竹内社長(60)は「コロナ禍で国から補助金等は受けない方針で、お弁当やフードデリバリーをして乗り切ってきた。主力事業であるヤクルトの好調がグループ業績を牽引し、2024年度は過去最高利益となった」と説明。売却理由については経営資源の選択と集中のため。「スタッフのことが一番大切だ」とし、大分ヤクルトグループが運営する豊後高田市と国東市のホテルに配置し、サンバリー内にあった保育園も移転が完了した。
 「ドリーム・ベップ」は、既存の建物を改修する。1階はベーカリーカフェとイベントスペース、2階はレストランと貸切スペース、9階は温泉施設として一般にも解放される。3階から5階はソーシャルアパートとして市内の若者が夢に向かって切磋琢磨する場として、6階から8階はホテルとなる。主にアジア圏をメインターゲットとした外国人観光客を誘客し、地域の観光事業者とも連携をとりながら域内消費の向上、地域経済の発展に貢献したい考え。
 管社長(42)は、台湾出身で、現在は帰化している。立命館アジア太平洋大学(APU)の2期生。サンバリーの近くで生活をしていて「いつかは別府で事業を」と考えていたという。「日本と台湾に架け橋になりたい」とこれを機に別府市に移住した。ホテルへの投資経験はあるものの、経営は初めてだが「アパートもあるので、安定した経営ができると思う。『旅のような暮らし、暮らしのような旅』をコンセプトにやっていきたい」と話した。
 大分ヤクルト販売では、旅行業に登録しているまち歩きステーション「アルコ・デ・ベップ」も運営しており、ホテルアネックスも改修が進んでいる。無料のシャトルバスなど連携できるところは多い。竹内社長は「ライバルにはなるが、同じビジョンを持って前進していきたい。重要なことは、エリアの活性化」と意気込んでいる。