
オンライン診療の実証実験を行った
杵築市立山香病院(小野隆司院長)は、ワゴン車などに様々な医療機器を搭載し、地域に出向いて医療サービスを提供する「医療MaaS(マース)」を4月から本格的に運用開始するにあたり、7日午後2時、梶ケ浜区コミュニティセンターで実証実験を行った。
医療MaaSは、交通手段と医療サービスを統合し、患者や医療従事者の移動にかかる負担を軽減することを目的にしている。オンライン診療をしている医療機関はあるが、車に医療機器を搭載して医療サービスを提供するのは、県内で初めて。
杵築市は、旧杵築市、旧山香町、旧大田村が合併しており、エリアが広い。医療機関は海岸部に集中し、山間部では無医地区が点在し、病院に行く移動手段の確保も難しいケースがあるという。これまで、通院支援やオンライン診療を行ってきたが、さらなる課題解決のために医療MaaSの導入を決めた。
車は、杵築市のキャラクター「きつみん」が描かれ、黄色とオレンジで明るい雰囲気に。車内は自由なレイアウトができるマルチタスク使用で、大型バッテリーも搭載。衛星通信を活用することで、山間部での電波がつながりにくい問題を解消した。
車内には、電子血圧計や電子体温計、エコー映像を送るポータブルエコー、心音や心電図をリアルタイムで病院に配信する超聴診器などを搭載している。リアルタイム遠隔医療システム「TeladocHEALTH」では、70倍のズームや医師側でカメラ操作が可能などの機能がついている。
総事業費(プロジェクト推進費、車両導入費、搭載医療機器導入費)は、3911万5千円で、デジタル田園都市国家構想交付金(補助率2分の1)を活用した。
実証実験では、地区住民約30人がセンターに集まり、問診や血圧測定などを行った。その後、小野院長と画面を通して会話をし、エコーなどを受けた。初めての経験に慣れない様子の人もみられたが、「今は車があるが、将来的に運転できなくなれば、(MaaSの利用は)いいかも」と話した。
今後は、梶ケ浜区、上地区、山浦地区でオンライン診療を始めると同時に、出前健康講座も随時行う予定にしている。