南海トラフ巨大地震「新被害想定」②

 建物被害は全壊・焼失が最大で235万棟と前回の238万6千棟から2%ほど減少している。
 避難生活の中で体調を悪化させて亡くなる「災害関連死」が初めて試算された結果、冬の夕方に地震が発生した場合は2万6千人から5万2千人。最大値は東秘本大震災の10倍を上回るという結果となった。
 暮らしや経済に関わる被害想定も改めて算出され、避難者は地震の1週間後に最大1230万人と、全人口の1割にのぼるほか経済被害も270兆円余りと国家予算の2倍以上となり、深刻な影響が日本全体に及ぶことが浮き彫りとなった。
 避難者1230万人のうち、避難所に身を寄せる人が650万人、避難所以外に身を寄せる人が580万人と推計している。発生から1カ月後も最大で1200万人と、避難生活が大規模かつ長期化するおそれがある。
 ライフラインへの影響は最悪の場合だが▽停電=地震発生直後に北日本を除く40都府県の2950万戸。1週間後も火力発電所の運転再開は限定的で130万戸で停電が続く▽上水道=断水の影響は発生翌日で40都府県3690万人と全人口の約3割になる。復旧が進むが、1カ月後になっても460万人が影響を受ける▽下水道=発生直後で40都府県の3570万人▽インターネット・電話=固定電話は被害の大きな地域では9割が通話に影響を受ける。携帯電話も地震の直後は大部分の通話が難しくなる。被害の大きな地域では解消まで最大で7週間程度かかる▽孤立集落=農業集落が約2200、漁業集落が約500―と想定している。
 九州・沖縄地方の被害だが、広い範囲で津波が押し寄せ、大分県と九州南部では10㍍を超えると想定されている。特に大分・宮崎の2県では地震発生直後、最大およそ9割で停電や断水のおそれがあると想定された。大分県の被害想定だが、死者1万8千人、全壊焼失3万2千棟、被害直後の断水人口95万人(93%)、下水道利用困難55万人(92%)、停電60万戸(89%)、1週間後の避難者16万5千人―と想定されている。  (終わり)