田仲敬司さんの「木版画作品集」を寄贈

作品集を寄贈した平野さん(左)と
長男の慎司さん(中央)

 大分県職員として勤務する傍ら、版画家として活躍した、故田仲敬司さんの「木版画作品集」を発行した、平野芳弘別府温泉宣伝協会代表が4月30日午後1時、別府市教育委員会に作品集50冊を寄贈した。
 田仲さんは、昭和6年に別府市光町で生まれた。県立別府第一高等学校在学中に、校名が「別府鶴見丘高校」に変わり、校章デザインコンテストに応募して採用されたことも。25歳の時に、息子2人をモデルに、木版画の年賀状を作りはじめ、81歳になるまで続いた。昭和61年の「第27回日本版画会公募展」で入賞すると、精力的に作品を発表し続け、日本版画会正会員でもあった。平成31年に88歳で他界した。作品展を開くため、作品を長男の慎司さん(66)から提供してもらった。この際、作品集の発行を求める声が来場者から多くあったことから今回の作品集の発行となった。
 作品集には、別府市の竹瓦温泉をはじめ、豊後高田市の富貴寺、臼杵市の龍原寺、宇佐神宮、京都大学地球熱学研究施設、日田市の豆田町など、県内の名所旧跡など111作品が収録されている。
 贈呈式で、平野代表が「田仲さんは県職員として大先輩でしたが、よくお会いしていましたし、息子さんとは勤務先が平野資料館の近くなど縁がありました。これからも機会があれば、作品展を開きたい」。田仲慎司さんは「私と弟を彫って年賀状を作っていましたが、次第に大きな作品になっていきました。良いものを作っていただきました。93歳になる母に見せてあげたい」とそれぞれあいさつ。
 寺岡悌二教育長は「後世に残る作品として、市民の心に刻まれると思いますし、子どもたちの励みにもなると思います」とお礼を述べた。寄贈された作品集は、各小中学校や市立図書館に置かれる。また、県内の書店や平野資料館で1650円(税込)で販売している。問い合わせは、平野資料館(電話23・4748)へ。