
第1期生となった3人の看護師
これまで医師しか行うことができなかった医療行為の一部が看護師も行えるようになる「特定行為」。平成27年10月に「保健師助産師法」の一部が改正され、診療補助の38の行為が特定行為として定められた。大分県内では、これまで5施設で研修を行っていたが、今年から、別府市内で初めて国立病院機構西別府病院と大分県厚生連鶴見病院も指定され、運用がはじまっている。
研修を受けた看護師が、医師の手順書に従って特定行為を行えるようになり、タイムリーな対応をすることなどが期待されている。
西別府病院(末延聡一院長)で12日午前9時半、研修開講式が行われた。同病院は、重症心身障がい者や筋ジストロフィーを含む神経・筋難病などの障がい者医療の専門機関で、常時100台以上の人工呼吸器が稼働している。今回の研修では、勤務する3人の看護師が参加し、特定行為である「気管カニューレ交換」の研修を受ける。気管切開手術後に、開口部から気管内にチューブを挿入するもので、チューブがつまらないように定期的な交換が必要になる。研修を通じて、高度な知識を持つ看護師を育成したい考え。
末延院長が「当院には、人工呼吸器などの気道管理をしている患者が100人以上入院されています。皆さん、すでに看護にかかわっていますが、働きながら勉強をして、実際の多くの患者の看護にもリアルタイムでフィードバックできるため、意義は大きいと思います。講義や実習について聞きやすい、学びやすい環境をこれからも準備していくので、安心して取り組んでほしい」とあいさつし、3人に入講許可書を授与。
研修生を代表して、森口里佳さんが「勤務する場所で専門的な学習ができることを大変ありがたく思っています。日常的なケアはもちろん、緊急時には気道確保の観点から迅速で的確な対応が求められています。研修で専門的知識、技術を身に着け、安全なカニューレ交換はもちろんのこと、臨床遂行能力の向上をめざし、より安全で安心な看護、医療の提供が出来るように努力したい。得た学びや経験を周囲に伝え、研修を受講し、より専門性を高めたいと思う仲間を増やし、ロールモデルとなりたい」と述べた。
今後、勤務をしながら医師や看護師、薬剤師などから共通区分と区分別、合わせて8カ月間の研修を受ける。今回は同院に勤務する看護師のみだが、次年度からは、院外からも希望者を受け入れたいとしている。