井元市消防署長が語る

24人が井元隆文消防署長の話を聞いた

 別府市立別府西中学校、同校PTA(保護者)、同校運営協議会(地域)が連携・協働し子どもの夢を育むプロジェクト「よりみち『夢』アカデミー」を22日午後4時、同校多目的ホールで開催し、生徒24人が参加した。
 同校の教育目標「別府を愛し、夢をもち、自ら学ぶ生徒の育成」の達成に向け、生徒の夢を育む保護者と連携した取組。同アカデミーは生徒に人気のある職業に就いている人との交流の場としている。
 今回のテーマは「消防士」。講師は、井元隆文別府市消防署長。
 井元署長のこれまでの人生の歩みを紹介し、消防の仕事について映像を流し参加者全員で見て、生徒が感想を述べた。
 井元署長は「私たちは『必ず助けます』と言います。『必ず』『絶対』という概念は、なかなか難しい。しかし、私たち消防官は『必ず助けます』と言います。私たちは人を助けるために、この仕事に就きました。そのためには、何としても助けます。ケガをしないために何をするかを考えます。小さいケガや大きなケガをしないように、日ごろから注意することを部下に徹底しています」
 「部下たちは何をすべきかを考え、実行する。そうすることで効果があるかないかが分かります。『必ず』を守るための絶対条件は、自分を守ること。そのためには、自分に何ができるかを考えてみてください」と述べた。
 「私たちはプロの集団です。それを構成する職員は、みんな自覚があります。何のために消防に入ったかの目的が明確。それは『人を助けたい』という思い。ケガをした人を助けるためには、自分たちがケガをしないように訓練を積み重ねている。それが積もり積もって『必ず助けに行く』という目標に進んでいる」と話した。
 熊本・大分地震のとき、現場で指揮をする指揮官だった井元署長は、出動命令があり、家族を安全な場所に残して出動したという。子どもたちは泣きながら手を振り、奥さんは子どもを抱えながら「頑張ってね。死なないでね」という目で見ていた。それを経験した井元署長は「消防になって一番辛かった。家族を残して、みんなを助けに行かないといけない」と語った。
 「私たちは、日々努力しています。何千種類の資機材があります。救急も何百種類も道具があります。いざというときに、必ず助けるために、目を瞑っていても使いこなせるぐらいまでの練習をしています。人を助けに行って、道具を使えなかったら、助けないといけない人がどんどん弱って、血が吹き出て、息ができなくて死んでいく。そうならないためにも、訓練をしている。自覚しながら訓練をする消防は強い組織なんだと思う。小さな努力が重なると、大きな力になる」と述べた。
 「今は義務教育なので、親、学校、地域などに守られている。義務教育が終わったら、悲惨なものです。試験で落ちたら学校に行けない、行きたくても行けない。今のうちに四の五の言わずに、与えられた勉強を真剣にする。真剣にすることで『心力』が備わります。社会に出るために、心の力を磨くことに努めてください。そうすることで社会に出た際に、助ける知識や技能ができる。自分のためにやってください。きついけど、心の力を磨けば社会に出たときにどこがで役に立ちます」と説明した。
 質疑応答では、井元署長が生徒の質問に一つひとつ丁寧に答えた。生徒たちは、井元署長の話を興味深く聞き、メモを取る姿があった。