適切な「米価」の運用

 「米価」に気を取られていたら、もう一方の「米価」トランプ政権の動きが益々、異常な事態に陥った事に。今回は米ハーバード大学の留学生入学阻止、パレスチナを掲げる反イスラエル主義学生の排除はハーバード補助金ストップで実行へ。若者の自由闊達な国際感覚に「待った!」がかかった。「ハーバード大学」といえば、米国誕生の時代から政治経済のリーダーや多くの米国内外の指導者を育ててきた。日本の高級官僚や政治家もここで学び、幅広い国際的な人間関係を築いてきた。
 ハーバードにはジョンFケネディー行政大学院という研究施設がある。別名「ケネディー・スクール」。将来政治家や官僚を目指す英俊を集め、米国官僚研修生(インターン)らとともに法案の草稿や政治システムの構築設計に向学の志に磨きをかける。国内外の才能を集結した。
 このケネディースクールを経験した政治家は私の知る限り、宮沢洋一、塩崎恭久、林芳正、茂木敏充、川上陽子、斎藤健、玉木雄一郎(国民民主)、小林鷹之の各氏が。林官房長官はスクールの同窓会長を引き受けている。同盟国日本が戦後80年に及び米のパートナーとして、アジアの雄として活躍を続けられてきたのは経済交流のみならず、この若き人々の情熱にもよる。
 たとえは異なるが、戦前の日本も占領地の中国、台湾はじめ東南アジア諸国の若き英俊を日本に招き、旧東京帝大、京大、一ツ橋、大阪各帝大、陸軍士官学校、海軍兵学校に奨学金付きで勉学の機会を提供、人材の育成は各国の独立運動に発展。第二次大戦直後に新生国誕生の気運を醸成させた。東京裁判で一方的に下された判決の「日本断罪」とは別に、日本に対する同窓の意識が、各国指導者に親日感情を深いものに仕立てた。学徒に門徒を開いた我が国の方針が奏功した。
 トランプ氏の「米価」は貿易収支の不均等是正の借置と米財政の健全化を目的に関税などに法外な要求をくり返してはいるが、実体経済と見合わない障害と世界に波及する「マイナス」の方が著しい事が次々に表れている。台所も、世界経済も「米価」は適切に運用される事が望ましい。反社会的な恐喝まがいの貿易是正では自国経済の健全成長には結びつかない。
 政治施策の「老害化」はご免蒙る。   (陽)