国を治める者は……

 トランプ氏の「関税」発言をはじめ、米国の財政改善を目的とした経済政策は、諸外国に通達すると同時に当該国の株価や為替、投機システムが乱高下する。株式や投機筋は乱高下する事で、「利ざや」を納めた者も案外多いという。
 2001年9月11日米国は「同時多発テロ」の被害を受け、NY市の世界貿易センタービルがハイジャック機で攻撃され崩壊、世界経済に深刻なダメージを与えた。犠牲者は3千人。日本人は当時の富士銀行(現みずほ銀行)の日本人駐在員23人が犠牲となった。
 当時「利ざや」を納めたのがアルカイダの首謀者ウサマ・ビンラディンだった。サウジアラビア王族の血筋に育ったビンラディンは、若かりし頃アメリカに留学した経験もあった。成長するにつれイスラム原理主義に傾倒、反米の意識が高まり、サウジ王家のファハド家から放遂の憂き目を見た。身の拠りどころを原理主義に置き、テロの首謀者として活躍。ファハド家から得た利益(財産)をもとにテロリストを養成する傍ら、欧州で金と原油の先物取引事業を立ち上げた。世界不安を創出する者はこの「利ざや」をも創出させる。ビンラディンは10年後の2011年5月オバマ政権下、潜伏先のパキスタンで米海軍特殊部隊シールズの手によって処刑された。法治国家の米国は「被疑者」を国際法の法廷に立たせる事なく一方的な処刑を敢行した。
 政情不安を創出させる者が「利ざや」を創出、供給する。トランプ氏の発言がまさか、「利ざや」創出に結びつく事はないと思ってはいるが……。それでも米国が日本に敵対的な経済対策を強行するのであれば、日本は政府が保有する米国債の放出、在米日本企業資産の撤退で対応したら、その日から米経済の破綻が始まる、日本を甘く見るな。米国債の放出は故橋本龍太郎首相が一考した経緯があり、当時のアメリカ政府が縮み上がった事がある。橋本氏は決して米国に隷属することはなかった。
 話はガラッと変わる。去る28日、東欧のモンテネグロからスパイッチ首相が石破首相を表敬訪問、和やかな会談となった。スパイッチ首相は若かりし頃、国費留学生として日本に留学。「モンテネグロ」は旧ユーゴスラビア(ソ連邦の一つ)の小国。人口は約61万人。2006年に独立、現在EUとNATOに加盟をはたしている。流暢な日本語を駆使して日本との友好関係を模索し、「第二のふるさと」日本に支援を求めた。石破首相も令和のコメ騒動をよそに、愛想満面にこれに応えた。小国(失礼!)ながら、彼の表情や政治志向は、決して敵を作らず、上からの目線を備えず、謙虚な物言いが、なぜか超新鮮に映った。一国の代表の姿、これでいいのではないかなぁ~。
       (陽)