クニ・トシロウ氏のいたずら描き展

漫画家の田代しんたろうさんの質問に答える
クニ・トシロウ氏

 アニメディレクターで漫画家のクニ・トシロウ氏の作品展「まんが油屋熊八・クニトシロウいたずら描き展」が25日まで、別府大学33号館歴史文化総合研究センター(別府大学附属博物館)2階展示ホールで開催している。開館時間は、平日が午前9時から午後4時30分、土曜日は午前9時から午後0時30分、日曜日は休館。入場無料。
 クニ氏は、「おそ松くん」「オバケのQ太郎」といった全国的に有名なアニメ作品の演出にかかわり、「笑ゥせぇるすまん」などの監督を務めた。また、自らも漫画を描き「津波からふるさとを守った浜口梧陵 歴史マンガ『稲むらの火』」などの作品がある。2005年より同大学文学部教授となり、そのころから「別府観光の父」油屋熊八翁に興味を持ち、伝記絵本を作成。同展示では、油屋翁にかかわる作品と、最近書き留めた時事ネタ作品を「いたずら描き」と称して展示している。
 初日の6日午後1時30分、オープニングイベント「クニ・トシロウが語るまんが人生」が同所であり、約30人が参加した。
 漫画家の田代しんたろうさんが「一番最初に、どういうマンガを描きだしたのですか」と質問をし、クニ氏が「一番最初は似顔絵だね。最初は吉田茂さん」と答えた。田代さんが「田河水泡さんの真似をしたとかはありましたか」の質問に、クニ氏は「ありましたね。そのころは手塚治虫さんと二大双璧の杉浦茂さんが大好きで、影響を受けた」と述べた。また早稲田大学の漫研時代の話や、実は弁護士を目指していたこと、「笑ゥせぇるすまん」の監督をしたときの話として「あの作品は、米谷良和監督のセンスが抜群だった。声優の大平透さんで成功した。あれは藤子作品でマイナーだった。40歳ぐらいのとき、藤子Ⓐ先生の安孫子素雄さんと麻雀をしていたとき『黒ィせぇるすまんを任せてください』と言ったら『うん、いいよ。だけどクニちゃんね、今はダメだよ。10年後だよ』と言われた。そして10年後、電話がかかり『クニちゃん、あれアニメになるから頼むぞ』と言われた」と秘話を明かした。
 イベント終了後、質疑応答もあり、参加者からの質問にも丁寧に答えていた。
 11日まではクニ氏が在館し、展示販売している作品の購入者や似顔絵代(1500円)を支払った人に、干支入りの似顔絵を描くサービスをしている。