
折紙を折ったり、軽食をとった
大分県アイサポート委員会(釘宮好美代表)は「アイサポ研修会2025『講演・座談会・視覚障がい体験』」を12日午後1時30分、ふれあい広場サザンクロス3階視聴覚室で開催し、約70人が参加した。
釘宮代表が「なかなか視覚障がい者の話を聞く機会は、ないと思う。障がい者本人に聞くということも聞きにくいと思いますので、本日、登壇する2人の話をよく聞いてください。疑似体験ではさまざまなことを体験してください」とあいさつし、研修会がスタートした。
第1部の講師は、山本正史氏と噺屋ザトー氏の2人。
山本氏は、高校生のときに網膜色素変性症と診断を受ける。35歳のときに視野狭窄により、障がい者手帳二級を取得。車の運転ができなくなり、営業の仕事をしていたが公務員(事務職)に転職した。
噺屋ザトー氏は、別府を中心に県内外で活動するインディーズ落語家。農業家をめざしていた23歳のとき、持病の緑内障が進行し光を失う。子どものころに熱中していた落語を思い出し、自身の障がいを笑いに変えた漫談、大分を舞台とした改作落語を得意として活動している。
2人が失明する前と後で変わったこと、家族の思いなどを話した。
第2部は参加者が7班に分かれて、網膜色素変性症や緑内障などの視覚障がいに関する病気がどのようなことかを、視覚障がい者とざくばらんな意見交換を行った。
疑似体験では、アイマスクをつけて折紙を折ったり、クッキーなどの軽食をとるなど、基礎的な声かけや介助方法を知り、体験を通じて視覚障がい者目線で立つことで、新たな気付きを得る機会となった。
参加者は「食事をするのも、目で見て『ここに食べ物がある』と分かっているから口に運べる。しかし、見えないとそれが本当に食べ物かどうかが分からない。なので、他の五感で判断するようになり、嗅覚や触覚などが鋭敏になる。いつ目が見えなくなるか分からないので、話が聞くことができ、体験ができてよかった」と話した。