「『ド地銀』経営を貫く」「機関投資家より従業員の方が大切だ」「歴史を重んじ、義理人情を大切にする」――時折り浪花節調の言い回しで熱っぽく語ったのは高橋靖英・㈱大分銀行頭取。神戸大出身のエリートらしからぬ弁舌だった。同行恒例の経営説明会は5日夕、ビーコンプラザで開催。別府、日出、湯布院から大銀取り引き企業、事業所の代表らが集まり、頭取就任1年の成果を受け止めた。以下はその詳細。


取り引き事業者代表
新役員体制と行員=専務をはじめ3人の常務、社外取締役は4人でうち2人が女性。上席者は別府支店長の経験もある。従業員(行員)はほとんどが大分県出身者。
『ド地銀』経営を貫き、バランスあるステークホルダー経営
2025年3月期決算は、連結当期純利益を充実させ75億円(前年比+10億円、計画比16億円)。2026年3月期は、4期連続の増収増益の見通し。中計最終年度の計画(連結当期純利益、ROE)前倒し達成を見込み、株益150円への増配を予定。「人材」と「預金」が、企業価値向上の鍵。
お客様の事業・資産・情報を守る信頼の基盤となるため、「お客様」と「地域」を徹底的にサポートする「ド地銀経営」を貫き、全てのステークホルダーの価値を高めていく「バランスあるステークホルダー経営」がブレない経営戦略と自負している。また、「ファン株主」の増大をめざす。
2025年3月期決算概要
連結経営成績(大分銀行グループ)▽経常収益(一般企業の売上高)は24年732億円、25年779億円(+47億円)▽経常利益は24年90億円、25年111億円(+21億円)▽連結当期純利益は24年65億円、25年75億円(+10億円)
目標指標の進捗状況
2024年度においては、現時点で測定ができない「大分県の経済成長率」を除き、すべての目標指標を達成した。
財務指標=連結当期純利益、24年度目標59億円、実績75・5億円▽連結ROE、24年度目標3・13%、実績3・96%▽連結自己資本比率、24年度目標10%程度、実績10・11%▽単体OHR、24年度目標76・71%、実績60・56%
エンゲージメント指標=お客様の付加価値額増加、24年度5809億円(23年度実績)、実績7195億円▽金融商品仲介資産残高、24年度5322億円、実績5466億円▽SDGs投融資額、24年度1250億円、実績2332億円▽従業員エンゲージメント、24年度85%以上、実績89・7%▽女性管理職比率、24年度3・8%、実績5・11%といずれも好調。
2026年3月期業績予想
連結経営成績(大分銀行グループ)=経常収益、26年3月期予想803億円(+24億円)▽経常利益、26年3月期予想132億円(+21億円)▽連結当期純利益、26年3月期予想90億円(+15億円)
法人営業の強化
お客様のサステナビリティ向上に向け、お客様の意向や周囲の環境に合わせ伴走支援を実践していきたい。
外部連携によるオープンイノベーションとして、様々な専門分野における連携強化で地域課題解決に向けたサポートを実現した。ものづくり支援に向けた連携として、大分キャノン㈱をはじめとした企業間交流を推進することで、大分県内のものづくり技術と地域経済の発展に貢献する。ヘルスケア領域の課題解決に向けた連携として、㈱フォレストホールディングスと㈱大分銀行の強みを活かした「本業+α」の価値創造により、ヘルスケア領域の課題解決に努めるとともに、大分県内のWell―beingを高めるまちづくりに貢献した。
伴走支援~踏み込んだ経営支援~
県内の基幹産業に対し、今後に事業成長、財務基盤の安定化に向けたソリューションの提供の一環として資本性ローンを導入した。
このほか「法人営業の戦略」「個人営業の強化」「野村証券とのコラボ」「地域社会への貢献」「人取についての取り組み」「市場からの評価」「利益成長を通じた株主還元」などその詳細を披露。
頭取就任1年を経て
本年2月1日に創立132周年を迎えた。これもひとえに、お客様や地域の皆さまからの永年にわたるご支援と諸先輩をはじめとする従業員の皆さんの尽力の賜物。
未来に向けて進むべき方向性がブレないことを約束する。「お客様」と「地域」を徹底的にサポートしていく「ド地銀経営」を貫き、全てのステークホルダーの価値を高めていく「バランスあるステークホルダー経営」がブレない経営戦略であることを約束する。――と結んだ。