
訪れて「回天巡礼」を寄贈した
日出町の大神回天会(工藤健次会長)はUBE出版から提供を受けた「西瀬戸内海 回天巡礼」(A4判、110㌻、税抜き1700円)を18日午後1時半、日出町教育委員会に10冊寄贈した。
「回天」は、人間魚雷として、太平洋戦争で日本帝国海軍が開発した特攻兵器。「天を回らし、戦況を逆転させる」という意味がある。乗員1人が乗り込み、出撃すれば乗員の命はない。昭和19(1944)年に山口県の大津島に最初の基地が設けられ、日出町大神に昭和20(1945)年に「大神訓練基地」が造られたものの、大神訓練基地からの出撃はなかった。現在も多くの戦争遺構があり、住吉神社の境内には「回天神社」があり、毎年慰霊祭が執り行われている。また、「回天大神訓練基地記念公園」には、実物大模型がある。
「回天巡礼」は、近現代史ノンフィクション作家の堀雅昭氏が現地で徹底取材し、写真つきで分かりやすい内容になっている。▽甲標的と大浦崎基地・水中特攻の源流▽大津島と黒木博司・回天作戦の出現▽光の回天基地・本部基地としての新拠点▽平生の回天基地・潜水学校併設の突撃隊▽大神の回天基地・最後の訓練場所。戦後80年企画として制作された。
工藤会長(町議)と本にエッセイを寄稿した多田利浩大神回天会事務局次長(町議)が恒川英志教育長に本を寄贈した。恒川教育長は「平和教育をどう語り次いでいくかが課題になっている。一躍を担ってくれた魚住先生がお亡くなりになり、今後の平和教育をどうするか、大きな課題となっています。そんな中、貴重な資料をいただき、大変感謝しています。これを生かして、地元にある回天をはじめ様々な戦争遺構について語り継いでいきたい」とお礼。工藤会長は「貴重な本なので、平和学習に使って後世に1人でも多くの人が語りついでもらいたい」と述べた。
本は、町立小学校5校、中学校2校、町立図書館、歴史資料館に寄贈される。