

法被に袖を通した宮本さん(左)
第66回「鉄輪湯あみ祭」が20、21日に温泉山永福寺や鉄輪むし湯周辺で開催され、賑わった。
鎌倉時代中期に活躍した一遍上人が豊後の国を訪れた。永福寺に伝わる「絵とき法話」によると、一遍上人が念仏を唱えて荒れ狂う鉄輪の地獄を鎮め、1カ所だけ鎮まらない地獄に蒸し風呂を築いたと伝えられている。「湯あみ祭」は、一遍上人にゆかりのある鉄輪むし湯、渋の湯、熱の湯を中心に、鉄輪に立ちのぼる噴気と温泉に感謝するお祭り。
20日は竹筒に納められた温泉を1年間供養したものをお焚き上げをする「献湯筒法要」や餅つき大会、踊り念仏奉納踊り、縁日「鉄輪ゆかたでぃ」などが行われた。
21日は、午前10時半から稚児行列が行われた。一遍上人像とともに子どもたちが巡行。河野憲勝住職が渋の湯とむし湯でお清めをし、1年の厄を払った。むし湯前の広場で一遍上人像に稚児が温泉をかけ、手を合わせた。佐伯市から参加した甲斐美羽さん(8)は別府に住む祖母から勧められて参加。「初めて着る衣装でドキドキしました」とし、慣れない衣装で暑さが残る街中を歩いて「疲れた」と話ながらも、最後までしっかりと歩いた。
また、鉄輪温泉開場750年記念プレイベントとして、第1回「一湯一念 湯男一番がけ」が行われ、健脚自慢の18人が参加。かどや旅館横広場から永福寺までの約300㌔の坂道を駆け上った。コースは石畳の坂道のうえ、ゴール直前には階段があり、坂道を走ってきた参加者の前に立ちはだかった。階段を上がると「湯がけ」が行われ、見物客らがランナーにお湯をかけた。
初代「湯男」となったのは、宮本優さん(26)=大分市、会社員=。43秒56でゴールすると、会場から大きな拍手が送られた。宮本さんは昨年までサッカーJFL所属のヴェルスパ大分の選手。河野住職がその年の「湯男」のみが着ることができる特別な法被を着せた。宮本さんは「こんなに酸欠状態になるとは思わなかった。ダッシュで飛ばして、逃げ切ることだけを考えていました。後ろを振り返る余裕もなく、最後の階段のところは危なかったですが、ギリギリ耐えました」と話した。