初代日出藩主・木下延俊が寄進

修復された藩主寄贈の
石鳥居の復元工事が行われた
工事が終わり足場も解体されて
84年ぶりに完全な姿になった石鳥居

 日出町の若宮八幡神社(小石護久宮司)境内にある、初代日出藩主・木下延俊寄進の石鳥居が84年ぶりに元の姿に修復された。
 延俊公の石鳥居は、若宮八幡神社末社「愛宕社」に寛永11(1634)年に寄進されたもので、日出町有形文化財に指定されている。銘文には「豊富」が刻まれてり、歴史的にも貴重な鳥居。愛宕社は天正年間以前の創始で、延俊公が再興して社殿を建立している。
 しかし、昭和16(1941)年3月に記録的突風が発生し、境内にある松の巨樹が倒木。隣接する蓮華寺の本堂が倒壊した。その時に枝または幹の一部が石鳥居に接触し、笠木・島木東端と東柱上部が折損したとされている。折損した石鳥居の一部は、敷地内に残されていた。「笠木」は、鳥居の一番上部で、「島木」はその下の部分。
 小石宮司は平成21年に就任以来、石鳥居の修復について考えていたという。平成28年に文化財指定を受け、修復に向けて取り組みをしてきた。残されていた破損部分は石鳥居のものと確認されたが、部分解体をして調査をしてみると、左右で時代が違うことが判明。修復した時のなごりとみられる跡もみられた。
 20日午前9時半から、日出町教育委員会による保存修復工事説明会が行われ、約30人が参加した。石鳥居を元に戻す前に、つないだ跡を見ることが出来る貴重な機会とあって、参加者は熱心に見ていた。
 また、クレーン車で石鳥居をつり上げ、ゆっくりと慎重に設置した。石鳥居の修復工事を見る機会はあまりないことから、作業の様子に熱視線が送られた。石鳥居は、無事、元の場所に戻された。