「かなえびと」が9月22日に販売

末期がんに冒されながらも
「最後のプロジェクト」に
挑む姿が記されている
「かなえびと」をPRする羽生正宗氏
羽生会計事務所の
公式LINE

 ジャーナリストで「35年目のラブレター」などを出版したノンフィクション作家の小倉孝保さん著の「かなえびと」が9月22日、文藝春秋から販売されている。四六版、248㌻、税込1925円。
 同書は、難病を患った子どもの夢を叶える慈善団体「メイク・ア・ウィッシュ」のチーフアドバイザーで肝内胆管がんと戦いながら自分の夢と向き合った大野寿子氏(故人)の余命1カ月と宣告されながら、自著「メイク・ア・ウィッシュ 夢の実現が人生を変えた」を無料で配り、多くの人に子どもたちの勇気なる姿、そして命の輝きを伝える姿が書かれている。
 大野氏は2024年6月24日、楠町の税理士法人羽生会計事務所で講演を行っている。このときはすでに「がん」が進行しておりステージ4という状態だったが、同年4月に羽生氏から別府での講演を依頼され、著書を購入したいと言われた。本が絶版になっていたが交渉の結果、条件付きで刷ってもらえることになった。羽生氏との出会いが「最後の大野プロジェクト」となった。
 羽生氏は「ここに来て講演をして、2カ月弱で亡くなった。講演をして空港に送るとき、命を削る思いでここに来て『最後に羽生先生との約束を叶えたい』という思いがあった。大野さんはクリスチャンで『導きがあり、運命的な出会いで奇跡です』と言ってもらった」と振り返る。
 「この本は、小倉さんが1カ月間を追い続けたドキュメンタリーな形。その中に、最後のプロジェクトのきっかけが書かれており、私のことが書かれている」と話した。
 「2024年4月の時点で、余命1カ月とか言っていたと思う。講演会は6月だから、そのときは余命を超えていた。生き方や思いがあれば、エネルギーを燃やし、3千冊の本を配り終えて数日で亡くなった。燃え尽きたんだろう。全力で走り抜けた。大野さんからのバトンを受け取ったからには、次につなげていく。縁の中でつながっていくという素晴らしさがある」と述べた。
 著者の小倉さんからは「売り出したばかりだが、映画化したい。力を貸してくれ」と言われている。羽生氏はそのためにも、人の輪を広げていきたいと言う。
 今回、羽生氏の計らいで「かなえびと」を今日新聞の読者先着10人にプレゼントする。4日から羽生会計事務所の公式LINEで受け付ける。書籍希望者はLINEで送付先、連絡先電話番号などを明記し、申し込む。